キャリアガイダンスVol.435
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旧制武蔵高校をルーツとする本学は、戦後の学制改革にともない1949年に開学しました。旧制高校建学時の三つの理想、すなわち「東西文化融合」「世界雄飛」「自調自考」は今、リベラルアーツ、グローバル教育、アクティブ・ラーニングへとつながる武蔵大学の原点となっています。現在、本学が掲げている教育の基本目標である「自立」(自ら調べ自ら考える)、「対話」(心を開いて対話する)、「実践」(世界に思いをめぐらし、身近な場所で実践する)も、建学の三理想を濃縮したものにほかなりません。 こうした理想や目標の実現のため、開学以来力を注いできたのが少人数のゼミナール教育です。4年間ゼミ必語、韓国・朝鮮語、中国語の特訓プログラムである「グローバル・スタディーズコース」を17年に設置。同年、社会学部に開設した「グローバル・データサイエンスコース」では、世界共通語といえる「データ」を英語で扱える人材を育成しています。それらの総仕上げとして、22年には国際教養学部(仮称)の設置を構想中。リベラルアーツ&サイエンス教育を軸とした総合的な学びと、経済経営およびグローバルスタディーズの専門領域を英語で学び、世界基準の力を身につけます。 既存学部のカリキュラムも進化させます。旧制高校時代からの伝統を受け継ぎ、リベラルアーツ教育を志向する本学として、他学部の領域も広く学べる副専攻の制度を整える予定です。 コロナ禍においては対面授業の重要性を身に染みて感じました。オンライン授業で知識は伝えられても、学生と教員の信頼関係や学生同士の結びつきを強めることは困難です。来年以降のカリキュラムはそれらを念頭に置くべきでしょう。一般に、1クラスの人数が増えるほど匿名性は高まるもの。「小規模だが評価できる大学」「面倒見の良い大学」としての評価に違わぬよう、少人数教育の利点を活かしていきます。【学長プロフィール】やまさき・てつや●早稲田大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得退学。武蔵大学人文学部専任講師、助教授を経て、2000年社会学部教授。同学部長、学生支援センター長、教務部長、学長補佐を経て14年4月より現職。専門は生活意識論、ジェンダー論、若者文化論。【大学プロフィール】1922年旧制武蔵高等学校開校。49年武蔵大学開設。経済学部(経済学科、経営学科、金融学科)、人文学部(英語英米文化学科、ヨーロッパ文化学科、日本・東アジア文化学科)、社会学部(社会学科、メディア社会学科)の3学部8学科。2022年4月国際教養学部(仮称)を設置構想中。「ゼミの武蔵」として知られる少人数教育の伝統の下、グローバル市民の育成に注力修の伝統に加え、現在は、異なる学部の学生が協働で実際の企業の課題に取り組む「三学部横断型ゼミナール・プロジェクト」という産学連携型の授業にも果敢に挑戦するなど、「ゼミの武蔵」として高い評価を得ています。 そのうえで、注目していただきたいのがグローバル教育です。例えば経済学部では「ロンドン大学と武蔵大学とのパラレル・ディグリー・プログラム」を2015年にスタート。ロンドン大学の授業を本学で英語で受講することで、両大学の学位が取得できる日本初のプログラムであり、嬉しいことに昨年1期生から2人、今年は2期生から4人の学位取得者が誕生しています。 また、人文学部には英語、独語、仏̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/吉永智彦武蔵大学学長山㟢哲哉512020 DEC. Vol.435

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