キャリアガイダンスVol.435
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522020 DEC. Vol.435 群馬県立高崎北高校は、生徒の多くが大学進学を希望する進学型単位制高校だ。大学受験に向けた3年間のロードマップを作成し、生徒の進路実現を第一に取り組んできた。そんな同校に2018年、「社会に出て生きていくために必要な力を高校時代にしっかり育みたい」という思いをもつ丸橋 覚校長が着任。校訓に掲げられた「未来を拓く」人の育成にもつながる、学習指導要領が示す資質・能力の3つの柱を重視する学校づくりに全校体制で取り組んできた。 その核にあるのは「高北生に身に付けて欲しい資質・能力」だ。全教員で行うカリキュラム・マネジメント研修において、同校生徒にはどんな課題があるか、何を身に付けて欲しいかについての議論から抽出したキーワードが基になっている。20年度に設定されたのは、「主体性」「コミュニケーション能力」「探究心」「チャレンジ精神」、そして「基礎的な知識・技能」だ。なかでも教員からの指摘が目立つのは主体性に関する課題感だという。 「本校の生徒は真面目で、決められた枠組みの中で自ら行動できる〝自主性〞もあります。それをもう一段上げて、自ら何をすべきかを考えて行動するような〝主体性〞を身に付けてほしい、という意見が多く聞かれます」(木村一実教頭) 資質・能力が設定できると、その育成に必要な取組について各教科・分掌から意見を吸い上げ、グランドデザインとして一つの図に整理(図1)。各教室に掲示するなど、教員と生徒で共有している。 「テーマパークのマップのように教育活動全体を俯瞰することで、先生方が自身の立ち位置や何をすべきかが見えやすくなるのではないか。また、授業改善やICT化などの新しい事が、ばらばらではなく、一つの方向性をもって理解でき、取り組みやすくなるのではないかと考えています」(丸橋校長) グランドデザインは一度作ったら終わりではない。7月に1回目のカリキュラム・マネジメント研修を実施。その年度に設定した資質・能力の育成のために授業や特別活動ごとにどのような取組を行い、それで生徒はどう変化しているかについてグループ協議を行う。10月に行う2回目の研修では、次年度に設定する資質・能力について意見を交わす。そうした議論を基に、年度末までにグランドデザインを改定する。これを毎年繰り返していく方針だ。高崎北高校は3年前より、教育活動全体を根本から見直し、新しい学校づくりに取り組んできました。その核にあるのは、生徒に身に付けて欲しい資質・能力です。どのように推進し、そのなかで生徒はどう成長してきたかをレポートします。取材・文/藤崎雅子総合的な探究の時間 人間関係づくり 探究型インターンシップ 探究プログラムオンライン・インタビュー カリキュラム・マネジメント 外部連携資質・能力を核とするグランドデザインを作成今年度も10月のカリキュラム・マネジメント研修で、全教員が4人グループに分かれて「身に付けて欲しい資質・能力」をテーマに意見を交わした。

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