キャリアガイダンスVol.435
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 授業をはじめ、探究、学校行事、進路行事、部活動など、高校3年間に渡って組まれるカリキュラムには、それぞれの学びの目的とともに生徒の成長という先生方の願いが一緒に織り込まれていると思います。これからの時代を生きるうえで必要となる資質・能力を、豊かな学びの経験を通じて育んでいく。 しかしながら、対面授業ができなかった一斉休校中、学びに向き合える生徒とそうでない生徒の格差がより顕著だった、そんな声を聞きました。与えられた課題をこなしていくことに必死で、学んだことを振り返ったり、その経験を自分の中に取り込んだりする機会が少ない。ましてや「もっと主体的に…」と言われても容易く変われるものではないことは先生方も周知のとおりだと思います。やることをただ増やしたり、やりっぱなしで終わらせたりするのではなく、学ぶ面白さや意義などの動機付け、そして自己効力感を伴って生徒自身が成長を実感できること。さらには、見通しをもって次につなげていくことが欠かせません。だとすれば、生徒が本来もっている意欲を引き出し、主体的な学びを促す教師のあり方が大切になってくるのではないでしょうか。 今号では、生徒に関わる大切な取組のひとつとして「リフレクション」にフォーカスしてみました。先生方が日常的に行っている「振り返り」とは何か違うのでしょうか。 新学習指導要領では、自らの学びを振り返り、他者との対話を通じて、粘り強く、自己調整していく「学びに向かう力」が謳われています。複雑な社会問題を解決していく「主体」が求められるこれからの時代において、リフレクティブな思考習慣は社会や個人のWell-beingに向かう生徒の力を高めていく、そう信じています。本特集が先生方のリフレクションにつながれば幸いです。山下真司(本誌 編集長)「学びに向かう力」を育むリフレクション62020 DEC. Vol.435

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