● 2年生1学期 『学校&学部研究BOOK』『進学事典』 兵庫県の公立高校普通科には、文系、理系のほかに、より高い専門性で学べる「特色類型」が設置されている。川西明峰高校の特色類型は、国際的な人材を育成する「グローバルキャリア類型」。多様な進路希望の生徒を、グローバルとローカルの両面から育てていくのが同校のねらいだ。 「しかし、進路を自分ごととして捉えられる生徒は、ごくわずかです。目先のことに夢中で進路を考えず、3年になって進学したい、希望校を変えたいと慌てる生徒も少なくないし、やりたいことが見つからないままの生徒もいる。一昨年、3年生の担任をして、1年からの進路学習の大切さを実感しました」と竹田さゆり先生。 そこで、1年の担任になった昨年から「進路学習はつまらない、わからない」と決めつけている生徒たちの考え方を変える取り組みを始めたという。 「これまで1年生の進路学習は、文理選択の講演会や大学・専門学校のガイダンスが中心でした。興味のない生徒は寝ているし、聞いていても考えていない。そこで、進路を自分ごととして考える道筋をつけていこうと思いました」と竹田先生。 活用したのは、スタディサプリの『分野選びBOOK』。多くの学校では、2年生で使っているテキストだ。 「生徒は、分厚いテキストを渡してもなかなか読みません。興味がある分野から進路を考える『分野選びBOOK』は、薄くて文字も少なく、先輩談は私が読んでも面白い。実際に、先輩の失敗談から今やることを学んだ生徒や、専門学校を考えていたけれど大学でも美容が学べると視野を広げてくれた生徒もいました。『ヘェー、そうなんだ!』という発見が、進路に興味をもつ第一歩になると思います」 ただし、テキスト学習後に提出するワークシートには、工夫をしたという。 「『感想を書きなさい』では、生徒たちは何をどう考えていいのかわからず、ワークシートを埋められない。でも、『○ページを読んで気になったことを3つ記入しよう』と考える道筋を提示すれば、どこを読んで書けばいいのかわかるんです」 こうした学習を行ってきたことで、2年の夏休み課題、「大学・専門学校レポート」も積極的に取り組む生徒が増えたという。 「よくできたレポートも多く、今回は発表させることにしました。未提出の生徒もいたので準備の時間を取り、お手本を生徒に見せると、『自分も、もっとうまく書ける。書き直したい』と5〜6人が手を挙げた。このやる気には驚きました。発表も緊張感があり、さらに発表後は、生徒たちが『この大学、どうなん?』と、ワイワイ進路の話をしていた。その姿には本当に感動しました。生徒が自分で未来を発見し、やる気になれる進路指導を、これからも考えていきたいですね」と竹田先生。「進路学習はつまらないわからない」を、1年からの進路学習で変えていく課題書き方指導つきのワークシートを作り進路を考える道筋をつける活用創立1976年/普通科(男女)生徒数860人(男子444人、女子416人)進路状況(2020年3月実績)大学107人、短大39人、専門学校等97人、就職13人取材・文/丸山佳子「漠然とした書き方ではなく、『〇ページの文章を読み、気になる項目を2つ記入しよう』など、どこを読んで何をするのかを具体的に記すだけで、記入率は大幅にアップします」と竹田先生。学校選びの前段階として、自分が興味のある分野、向いている分野から進路を考える『分野選びBOOK』。上は、竹田先生が考え方の道筋をつけられるように工夫した1年生用のワークシート。右は2年生『進学事典』用のワークシート。『学校&学部研究BOOK』で、学部の概要を知り、その後『進学事典』を使って、先輩の進路選択から学校選びのポイントを学ぶ。スタディサプリ活用法川西明峰高校(兵庫・県立)進路を「自分ごと」にできない生徒に、書き方つきワークシートで思考の道筋を示す2年進路指導担当竹田さゆり先生(国語)● 1年生2学期『分野選びBOOK』『進学事典』で興味をもった大学や専門学校について、特色や入学金、交通手段などをまとめたレポート。「大学5校を比較したレポートや、色分けしてわかりやすくまとめたレポートなど、優秀作が多くあり、発表が、生徒たちが進路を“自分ごと”として考えるきっかけになりました」と竹田先生。● 2020年夏、進路学習の 個人結果レポートを基に面談開始 キャリア教育 分野選びBOOK 仕事・学問BOOK 進学事典【活用キーワード】リクルートサービスを活用した実践事例【進路】612020 DEC. Vol.435
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