キャリアガイダンスVol.435
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 他者からのフィードバックを繰り返し受けることで、他者の視点を「内化」できるようになり、自ら第三者の視点で問いかけするようになっていきます。リフレクションが習慣化されると、無意識にこの思考が回り始めます。リフレクションを意識している間はまだトレーニングの段階で、社会で活躍している人は、自然と常に状況を見ながら考えて行動できる「リフレクティブな」習慣を身につけているのです。 大学に入ってくる学生たちには高校でリフレクションを経験してきた人もいますが、残念なことに「多くの学生はリフレクションが嫌い」です。正しくは「意味もわからないまま、やらされて、楽しめて」いない。彼らは「振り返り=強制される反省」だと思っています。できなかったことや自分の弱みを書くことだと思っているので、いい記憶ではないようです。 また、高校では教科の授業で毎時間振り返りをしている先生もいらっしゃいますが、リフレクションというよりその日の授業の「確認」や「感想」になっていたりしないでしょうか。 学生のなかには「リフレクションって穴埋めでしょ」と言う子もいます。ワークシートを渡されて、質問に対する答えを書くことだと考えている。あるいは、自分の本音ではなく先生に忖度した答えを書いてみたり。生徒にとっては「やらされリフレクション」で「どんよりリフレクション」なのです。 一度ついた思考の癖は容易にははずせませんが、「どんよりリフレクション」から脱却するポイントが3つあります。 一つは、「成功体験の振り返り」です。行動を起こすときに、マイナス5から0にあげるより、1を6にする方がラクです。弱みを直していくより、強みを伸ばしていく方が自信につながり、自己効力感をもって次の行動を起こしやすくなるので、自己効力感の低い学生には、特に向いていると思います。 二つ目は、リフレクションする内容のフォーカスを絞ることです。「何でもいポジティブなリフレクションで生徒たちの自己肯定感が上がる成功体験の振り返りとポジティブなフィードバック自分で回す自ら観察する自ら実行する自ら決める図1:中原先生のリフレクションの解釈いから振り返ってごらん」と言われても、何について考えればいいかわからず、曖昧な観察に陥ってしまう。挙句には「このワークシートを埋めればいいんでしょ」という思考になる。例えば「チーム活動した時間、自分が違和感を感じた出来事をひとつ思い出して、何を考え、感じていたのかを書いてごらん」と言うだけで、グッとフォーカスが絞られて振り返りやすくなります。 三つ目は、前述のように相互フィードバックを徹底的にすること。生徒や学生間の場合、「いいこと:悪いこと」の比率は「5:1」くらいにすると良いです。受験で挫折を経験していたり、「反省」の習慣がついている生徒たちは、自己肯定感が低いケースが多々あります。そもそもフィードバックは「ダメ出し」ではありません。社会人のリフレクションの場合、フィードバックする人は、振り返りをしている主体に対して先入観なく「ありのまま」を映し出す鏡であるべきだと考えています。しかし、生徒にとって自己肯定感は学びの意欲につながる大事なものなので、ポジティブな要素を意図的に多めにして、強みのシャワーを浴びさせるとリフレクションを好きになっていくと思います。 チームでのポジティブなリフレクションを積み重ねていくと、私のゼミでは自己肯定感が低かった学生たちがだんだん元気になり、自信をもって行動していく姿が見られます。 加えて、社会に出ると働き手の一人として自ら課題設定して解く力が必要で、良いフィードバックをしてくれる人が身近にいない可能性もあります。私のゼミではチームでの徹底したフィードバックを経た後、就活を控えた大学3年生の後半から「個」に戻ってリフレクションするようにしています。この時期、学生たちは目覚ましく成長していきます。 また、「やらされリフレクション」は、リフレクション自体が目的化されてしまっているケースではないでしょうか。 これは、「先生方が良いリフレ教員自身がリフレクションを体感することが必要82020 DEC. Vol.435

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