キャリアガイダンスVol.435_別冊
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員の間にも、アクティブ・ラーニングやPBLなどで、学生らしい閃きのアイデアが出たら主体性が発揮されていて「よし」としてしまう傾向がある。しかし、「それではダメなんです」と松尾教授は言う。 例えば、企業の抱える課題を解決するPBL授業だとすると、まず企業業績を調べて事実を把握し、そのうえで好調か不調かなどを解釈する。そして、どうしたらいいかの仮説を構築して行動目標値を定め、改革案を実行(プレゼンなど)するという流れが重要である。そこで、産業能率大学では経営学部長の松尾教授がすべてのシラバスをチェックして、いきなりアイデア出しを求めるような授業があれば見直しを求めている。その結果、学生たちが、理論科目で知識の引出しを増やし、事実把握→解釈→仮説構築を前段階としてしっかり取り組むことで、アイデアの質が大きく高まってきたという。 経営学部長の松尾 尚教授は、「学生の主体性を育成するのはとても難しいことです」と語る。しかし、それを前提としたうえで、同大学が徹底しているのは、「知識は使うためにある」ということだ。「いつかそのうち役に立つ知識」を漠然と学ぶのでは、よほど明確な将来像や、それに向けての強いモチベーションをもった学生しか「自分ごと」として内容を捉えることが難しい。このために、同大学では「ユニット科目」という仕組みを2013年から導入し、理論科目で学んだ知識をすぐに実践科目で活かすカリキュラムを構築している。 しかし、単にそうしたカリキュラム設計をしただけで、学生の主体性が育まれるわけではない。例えば大学の教 ところで、学生の主体性を育むうえで、欠かせないことがひとつある。それは教える側の主体性である。人は、学ぶことをやめた人から学ぶことはできない。言い換えれば、学び続ける人からしか学べないのである。 産業能率大学では、学生の主体性を育む一環として、いかに学生の「リーダーシップ」と「計画立案力」を高めるかを課題にしている。そして、毎月1回、全教員参加で開かれるFD研修会に取材・レポート/教育ジャーナリスト 友野伸一郎産業能率大学では、これまでもPBLやアクティブ・ラーニングなどをいち早く導入して、学生の主体性を育み、主体的学習者の育成に力を注いできた。前記事でも紹介した日経キャリアマガジン「就職ランキング特集」の中の、学生に「行動力」があるという項目(「熱意がある」「主体性がある」「チャレンジ精神がある」の3項目で構成)で、全国大学中で21位、全私大中では6位にランキングされている。こうした学生の主体性を、同大学ではいかに育んでいるのだろうか。その取組について取材した。開発した学習アプリ「産能大発音道場」を使った発音練習の様子経営学部長松尾 尚教授5Vol.435 別冊特集

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