自分の転機は、小国高校がホストとして開催した「全国高等学校小規模校サミット*」(以下、サミット)。その時先生たちから「ファシリテーターをやってみないか」と声をかけてもらったんです。 サミット開催に向けての事前の準備段階や、参加校の他校の人たちとの関わりのなかで、少しずつ自分が変化していったように感じます。まず、指導協力をしてくれた東北芸術工科大学のこかで、自分は変わりたい気持ちをもっていたのかなと思います。私はもともと、自分中心で悪目立ちするくせに、人目をすごく気にしてしまうタイプ。育った小国は小さな町で、高校も同学年が25人しかいませんでした。保育園から人間関係がほぼ変わっていないので、「あの子はこういう子」と誰もがお互いに思っていて、新しいことをするとヘンな目で見られる環境だったんです。校1年生ぐらいまでは、自分の将来について「英語が得意だから英語の先生か航空会社に勤務」と、漠然と考えていました。でも積極的にそれらになりたかったわけではなかったんです。部活動は中学から6年間ブラスバンドをがんばってきたものの、部長などを務めるわけではなく、友人たちがボランティアに参加していても私は興味がもてない、どちらかというと消極的な方だったかも。唯一やりたかったのは、留学すること。それで、高校2年の時に、学校で募集していた短期留学で最も費用が安かった1週間の「カンボジアワークキャンプ」に参加したのですが、それが自分のターニングポイントになりました。 まず、事前学習で学んだカンボジアの歴史に大きな衝撃を受けました。わずか数十年前の大量虐殺の歴史と、それによって現在のカンボジアが抱える教育者不足やいびつな人口構成などの課題が発生したことを知りました。実際のワークキャンプでは現地の学校を訪ねるなど、事前学習したことを五感で体感。この経験で、それまで教科書で知ってはいても人ごとだった発展途上国のことが、一気に現実味を帯びて自分ごとになり、何とかしたいと思うようになりました。 ワークキャンプを契機に、学校のポスターで見つけた「模擬国連」にも参加しました。そこでは、課題について自分たちで調べて解決策を考えるとい外に出てショックを受けたことで自分に足りないものを見つけがんばるモチベーションになった東京都私立 啓明学園中学校・高校卒吉田梨りの乃さん(左)「全国高等学校小規模校サミット」の事前準備で参加したファシリテーター研修。(右)サミット当日。コアメンバーとして他校の生徒をコーディネート。ど高何でも「やりたい」と言うと「行ってこい!」と背中を押し先生たちが見守ってくれた山形県立小国高校卒永井珠あか莉りさんPhoto:Zen Watanabe122021 FEB. Vol.436
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