キャリアガイダンスVol.436
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322021 FEB. Vol.436先生:進路志望調査、また志望を変更したみたいだけど。理学療法士になりたいって言っていなかった?(ボールペンをカチカチ)生徒:この前先輩に話を聞いたら、医療系はやっぱすごく大変そうだなって思って。だったら、最近人気のアニメの勉強した方が楽しそうかなと。先生:そんないい加減な選択だと将来困るぞ。 生徒:ええ~、親もそう言う。やっぱ仕事にするの難しい?先生:ちゃんと自分で調べてみたらどうだ。生徒:大変かなあ。だったら、無難に経済学部とか行くかな?先生: (イライラ) 先生: 本日は、どうされましたか?保護者: 先生、うちの子に、A大学に進学することを勧めましたよね。そう聞きました。でも、うちの子はずっとB大学を目指してきたんで。しかも、学部も変えるってどういうことですか。困るんですよね。勝手に。 先生: いや、ご本人の希望があってのことで。保護者: そんなの、受験勉強が少し辛くなって逃げているだけです。前の担任の先生は、そういうときちゃんと勉強方法の相談に乗ってくれたりしていたのに。 先生: (ムカッとして)いえ、本当にやりたいことができたそうですよ。ご家庭でも話を聞いてもらえませんか?(会議のなかで)先生A: では、本日はこの議案について、事前資料に関して先生方のご意見を伺いたいと思います。先生B: ちょっとその前にいいですか。そもそもこの議案なんですが、どうなんでしょう。今このタイミングというのは。これ、以前にも似たようなものがあって、まだ早いのではということで保留にしましたよね。先生A: (まただと、カチンとくる)その件については、前回進める方向でということになりましたよね。先生B: ああ、でもねえ。この資料を拝見しても、ねえ。先生A: (結局いつも邪魔ばかり。いい加減にしてほしい)ケース1ケース2ケース3思いつきのように志望を変え、進路を真剣に考えない生徒にイライラ保護者から進路指導のクレーム。一方的にまくしたてられムカッ進路指導会議で、いつも反対ばかりで足を引っ張る同僚にカチンストレスの兆候を把握し、「ちゃんとすべき」を緩めて考える 教員からすれば、しっかり目標をもって努力を重ねる高校生活を送ってほしいと思い、つい「しっかりしろ」とイライラします。アンガーマネジメントでの「思考のコントロール」を活用し、「べき」や「しっかり」「ちゃんと」という言葉を一旦外して対応してみましょう。いい加減なのは、本人が困っているサインかもしれません。困っている感情を受け止め、肯定しましょう。また、ボールペンをカチカチいわせる、貧乏ゆすりをするなど、イライラしているときの自分の癖を知っておくことも大切です。癖が出たら、体の末端(手足など)を動かしたり深呼吸するなど、体の緊張を解く対処も有効です。6秒ルールでタイムアウト資料を取りに行くなど、その場を離れる怒りやストレスの状況を整理し冷静な言動に結びつけていく 保護者のクレームなどでムカッとしたときは、「情動のコントロール」を活用して、まずは6秒数えるとか、「資料を取ってきます」など逃げ道を作り、その場を離れ落ち着きましょう。手帳の裏にペットなどお気に入りの写真を入れておき、タイムアウトの際に眺めて気持ちを落ち着かせるのもいいでしょう。「大丈夫」「わかっていたこと」など、怒りがわいたときに自分に言い聞かせる言葉を決めておく方法もあります。クレームには、すぐに返事をするのではなく、「そういうお気持ちがおありなんですね」と共感を示し、改めてお返事するなどやりとりがエスカレートしないように心がけましょう。 自分が変えられること・変えられないこと、重要なこと・重要ではないことの視点で、会議でのやりとりを整理してみると、「反対ばかりする先生」は自分が変えられることではなく、そのまま受け入れるしかないと気づきます。そして、怒りは二次的な感情で、出来事の意味づけによって発生するという視点に立つと、「いつも反対ばかりで邪魔をする先生」という意味づけで腹を立てていることに気づきます。冷静に、なぜその反対意見を持ち出したのか聞き、納得し合うことが大切です。また、そのやりとりでは、Iメッセージ(「私」が主語)によって、言うべきことを伝えることも必要です。

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