キャリアガイダンスVol.436
38/66

ィブなイメージをもった」であり、特に「働くことに対してポジティブなイメージをもった」の影響は大きい。一方で、社会の仕組みについて関心を高める授業、資格試験への取組などは影響が見られなかった。 ③入社前後で「実際の仕事内容についての情報」や「一緒に働く上司・同僚についての情報」のギャップが少ない場合には、生き生きと働くことができる傾向があった。 ④就職活動における自己決定については、就職活動の進め方・やり方について「自分で決めた実感がある」ことがプラスに影響していた。 次に、高卒後に働く若者が主体的に「自分のキャリアを自分でつくる」には、どのような経験が必要なのか、高校での学習や就職活動の影響を分析した では、高校卒業後にどのような若者が生き生き働くことができているのだろうか。高校での学習や就職活動の影響を分析した。対象は現在、正規雇用で働く当事者だ。具体的には、以下の項目が「生き生き働く」ことに影響しているかどうかを分析した。①「企業選択の際に重視したこと」 ②「高校で進路を考える授業に参加することで受けた影響」 ③「入社前後のイメージギャップ」 ④「就職活動における自己決定の程度」である。その結果を図にしたのが左の図9だ。この結果からは以下のようなことが読み取れる。 ①企業選択の時に重視したことが、休日や給与でなく、やりがいや成長といった「自己実現」であった場合、生き生き働くことに対して影響が見られた。 ②高校での授業については生き生き働くことに影響のあるものと影響が見られないものがあった。影響があったのは、その授業を受けたことで、「興味関心のある内容に対する学習時間が増えた」「自らのキャリア観(生き方)が明確になった」「働くことに対してポジテ 前章では就職活動と入社直後の適応の問題について、早期離職の観点から分析した。次に、高卒就職者の就職後のワークモチベーションやキャリア形成について明らかにしていこう。 どのような高校生が就職を希望するのか、その理由を尋ねたところ、「早期自立・成長のため」が最も多く挙げられた。「早く自立して稼げるようになりたい」「してみたい仕事や行ってみたい会社があった」「早く仕事を始めて成長したい」という3つの理由を合計すると、44・7%である。21・3%は学業回避が理由、20・0%が家族からの要望や経済的な理由であった。特に理由はないと回答した者も14・0%存在した(図7)。 しかし、そうした高校生の「自立したい」「成長したい」気持ちに対して、最初の職場で教育訓練機会があったかどうかを尋ねると、53・1%が「機会がなかった」と回答している(図8)。企業側は入社前後の導入研修など育成計画について改善が必要だ。学校や当事者は事前の確認が欠かせないだろう。働くことに対するポジティブな学び、就職活動での情報収集、自己決定が鍵社内外で、教育・研修などを受ける機会(Off-JT)図8高校卒業後に就職を選んだ最も大きな理由図7学業回避のため早期自立・成長のため特に理由はない家庭的理由のため44.7%21.3%20.0%14.0%10203040506070809053.1%11.8%12.3%7.3%6.2%4.3%4.9%機会はあったが、受けなかった機会がなかった1年間に合計で5~9時間以内1年間に合計で5時間未満1年間に合計で20~49時間以内1年間に合計で10~19時間以内1年間に合計で50時間以上0100出典:当事者調査出典:当事者調査382021 FEB. Vol.436

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る