キャリアガイダンスVol.436
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1979年創立。国際教育に重点をおき、2019年度よりIBコースを設置。文武両道を掲げJリーガーを始めとする多数のプロアスリートを輩出。近年、難関大学進学者が右肩上がりに増加し注目されている。昌平中学・高校(埼玉・私立)まとめ/長島佳子 撮影/高山尚樹 私は2006年に本校に着任し、経営母体の法人移管にともない新生・昌平高校の学校再生を任されました。その際に、前任校長と共に考えた新しい学校方針が、現在の教員モットーである「手をかけ 鍛え て 送り出す」です。社会に出てから自分のやりたいことに積極的に取り組む、たくましい人間力のある人材に育てたい想いがそこにはあります。 「手をかけ」とは手取り足取り指導するということではなく、一人ひとりの生徒に目をかけ、個性に合ったモチベーションに火がつくよう導いていくことです。「鍛える」は、高い目標や困難なことに立ち向かっていける粘り強さや、諦めずにやりきる力を育むことです。そして、それらを生徒たちが自主的にできるよう、手を離すタイミングも意識しています。 粘り強さや精神的なタフさは、日本人が本来強みとしていたはずですが、何をしてもすぐに叩かれる昨今の風潮のせいか、目立つことはしたがらず、叩かれるとすぐ折れてしまう弱さが気にかかっています。その力を取り戻すためにも、本校は文武両道を追求しています。日本や世界で活躍するリーダーには、バランス感覚に長けた文武両道な人が多く存在するからです。 本校の文武両道は勉強が得意な生徒と運動が得意な生徒の共存だけでなく、個々の生徒が勉強も運動もがんばれるよう、部活動や行事にも力を入れています。例えば、特進アスリートコースでは、部活動で全国大会を目指しながら、難関大学への進学を目指す生徒が集まっています。 これからの時代は、グローバル社会において多様性を理解する感性も欠かせません。本校は英語力と国際感覚を養うために、「パワー・イングリッシュ・プロジェクト」で語学研修やコンテストなど多角的な英語教育を実践しています。また、2019年度よりIB(国際バカロレア)コースも新設しました。 本校の特色ある多様な取組を可能にしているのは、まぎれもなく現場の先生方の力です。教育の要は「人」。個性の強い先生が集まっていながらも、「手をかけ 鍛えて 送り出す」の教員モットーの下、共通認識をもって生徒と向き合っています。生徒や学校を前進させたい想いをもつ教員集団であることが強みとなっています。その先生方を束ねる立場として、私も先生たちと頻繁に議論を重ねますし、30代の管理職登用など年齢不問で適材適所の人事をしています。 私自身、教員を目指したときから「世の中をつくっているのは教育だ」と考えてきました。世の中を変えられるのも教育だと思います。日本を今よりもっとがんばれる国にしたい。そのため、国を引っ張っていける骨太なリーダーとなれる人材を育てていきたいと思います。きがわ・まさし/1963年生まれ。「世界を変えられるのは教育」という想いをもち教員を目指し、東京学芸大学教育学部卒。卒業後は民間企業などでの勤務を経て、1995年香川県の私立中高一貫校に初任。その後、民間の大手塾の運営部長などを務めた後、草創期の香川誠陵中学高校で学校づくりに参画。進路指導、生徒募集などを中心的に進める。同校で教務部長、教頭を歴任した後、2006年昌平高校に教頭として着任。経営母体の法人が移管される時期に、学校再生を託され、学校改革の陣頭指揮を担った。2010年より現職。個々の生徒が文武両道を目指せるコースや環境を整備個性豊かな教員集団が特色ある多様な取組を推進452021 FEB. Vol.436

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