思い描いている授業の在り方目指す生徒像他の教育活動や社会とのつながり● 相手に伝わるように、また相手を理解しようとして、英語や日本語でコミュニケーションを取る● 英語を使って、他文化圏の人と通じ合ったり、人とつながったりする● 英語を使って世界の多様性にふれ、固定観念に縛られない柔軟性を身につけ、自分の可能性を広げる・ HRや生活指導で、対面とネットのやり取りの違いを生徒に問うなど、普段から「コミュニケーションのあり方」を生徒自身が考えるように促す・ 英語の授業で多様なテーマを扱うことで、地理や歴史、自然科学や芸術など、他の教科と関連する教養も深める英語の授業・ 相手と通じ合えるように、英語を「聞く」「読む」「話す(発表する/やり取りする)」「書く」・ 相手に通じやすい英単語や英語表現、文法、発音を習得する・ 授業で多様なテキストを読んだり、模擬国連で生徒自身が調査したりして、世界のことを学ぶ・ Skypeによる海外との遠隔交流授業で、世界各国で暮らす現地の人の生の声や姿にふれる人と通じ合うつながる世界にふれるがおかしくても校内の生徒同士なら日本語で補足できる。が、Skypeでつながった海外の生徒相手だとそうはいかない。通じるやり取りにしようと、発音や文法を今まで以上に意識する生徒も増えた。 英語で見聞きして感じたことを、これからの自分の学びや暮らしに役立てよう、という姿勢も見られるようになった。大学の面接試験で、英語の授業で学んだことを話した生徒が結構いたそうで、その内容というのがこんな感じだったのだ。 「教科書だけで学ぶことと、現地の声を聞いて知ることは全然違うのだと気づいた」 「ある問題について知っていることは、その人のいる地域や環境によって違う。『知識の格差』というのに気をつけたい」 知識の格差のことは、堀尾先生が授業で言及したわけではなく、参考までにと ディベートやSkypeによる国際交流を重ねると、生徒たちには「英語はやっぱり通じないとダメだ」という思いが育つようだ、と堀尾先生は感じている。 ディベートでは相手にその場で反論するため、生徒は準備したことを〝発表〞するだけでなく「相手の言いたいことを理解し、その場で自分の考えをまとめて返す」ことにも挑むようになった。文部科学省が言うところの〝やり取り〞する力を高めるようになったのだ。 その英語のやり取りでは、発音や文法配ったJICAの資料を、生徒が自分で読み込んで学んでいたことだった。 「いつのまにそんな賢いことを学んでいたのか、と驚きました(笑)。それも上辺の話をしているわけではなく、自分でふれて感じたことを基にそう言っているのが伝わってきたんです。授業で学んだことをただの教科の知識で終わらせず、日々の生活にもつなげてくれたんだと思えて、そんなときに一番やりがいを感じます」 今後としては、堀尾先生は異動になったときのことも考えて、英語学習が持続発展していくよう、教材から指導案までしっかり残していきたいと思っているそうだ。 「教材も大事ですが、その取組で生徒のどんな力を伸ばしたくて授業をどう展開するのか、といった指導観も共有することが大事だと思っているのです」 異動先ではどんな授業をしたいのか。 米原高校には英語コースがあり、だからSkypeによる国際交流も実現できたと思われがちだが、むしろ堀尾先生は、どんな高校でも、同じように海外との接点を築いていきたいと考えている。 「例えば『卒業したら就職するし英語は必要ない』と思っている生徒が多い学校であれば、その生徒たちがSkypeによる国際交流で何を学ぶことができるか、そこから考えたいんです。何らかの課題があって、そこにチャレンジするというのが、私自身、好きなのだと思います」生徒はこう変わる人と通じ合うために英語や世界のことを学ぶ英語を通して何を学ぶか生徒に合わせて考えたい■ INTERVIEW英語を使って考え、伝えて自分の視野を広げていく 私は日本語とポルトガル語が話せるのですが、英語はポルトガル語と文の構造が似ているんですね。中学校の英語は、その知っている文法を習う感じで、あまり楽しめませんでした。でも今の授業は、文法を習うだけでなく「英語を使って考えて、相手に伝える」こともするので楽しいです。コミュニケーション能力がつくと思います。将来は国際連合で働きたいと思っていましたが、英語はいろいろな分野に生かせるので、今はほかの職業も調べています。ドイツ語やスペイン語も学び、多言語を話せるようになりたいです(サイトウさん) ディベートの授業で肯定側や否定側から立論したり、相手の意見に反論したりするのは、難しいけれど、面白いです。例えば、最初は「制服は廃止すべき」と思っていても、否定側に立ってみると、制服があるといい理由も見つかり、「ああ、そうなんや」という気づきがあるんです。どっちの立場になっても意見を述べられる力がつくのは、楽しいし、自分の身にもなると感じています。将来の夢はキャビンアテンダントです。飛行機にはいろいろな国の人が搭乗するので、それぞれの国の文化も知ったうえで、英語を使ってコミュニケーションを取っていきたいです(渡邊さん)左から、1年生のサイトウ ベアトリスさん、渡邊萌乃さん592021 FEB. Vol.436
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