キャリアガイダンスVol.437
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 次ページからは2つのグループ別のセッションの様子を中心に、WSのダイジェストをレポートする。私立高校の先生で構成したAグループ、公立高校の先生で構成したBグループで、それぞれ3名の先生とファシリテーター1名の4名一組で対話を実践した。先生方の個性で冒頭からにぎやかに始まったAグループ、お互いを気づかいながら始まったBグループと、対照的な対話が展開された。参加者の個性に合わせたファシリテーターの介在と、事後取材で語られたグループセッションでの働きかけの意図も、学校現場で対話を進める先生方の参考になるはずだ。 対話に臨む際に心掛けたい3つの「対話のアティチュード(態度、心構え)」(図3)が示された。①一般論や伝聞ではなく、〝わたし〞を主語に語ること、②語られる発言だけでなく、相手の背景に目を配ったり、その場で聞いている自分の気持ちも振り返ってみるなど、互いの気持ちに耳を傾けること、③誰かが対話を進めることを期待するのではなく、「私がこの場をつくっている」ということを忘れないことだ。 チェックインでは、各自がこの場での呼び名を表明したり、「emochan」という感情をシェアするツールを使って、今の気持ちを伝え合った。り、自由に発言できる空気をつくりながら、「対話」とは何かについてレクチャーした(図2)。 ここでの「対話(dialogue)」の定義は、「あるテーマについて、互いの意見や意図、経験や感情を本音で共有し合い、お互いを深く理解し合っていくためのコミュニケーション手法」だ。対話には相互理解を深める「探究的対話」と、さらに進んで、新たな意味やアイデアが創発される「創造的対話」の段階がある。生徒たちが「創造的対話」をできるようになるために、今日のワークショップで先生たちに創造的対話を目指して体験してもらうことが伝えられた。オンライン研修会の様子をお届けする。 WSは全国から、さまざまな実践に積極的に取り組まれている6名の先生方にお集まりいただき、コロナ禍も鑑みてオンラインにて実施。図1のような流れで、約3時間半という限られた時間の中で、対話についてのレクチャーと2つのグループに分かれてのセッションを実施した。 冒頭のイントロダクションでは、ファシリテーターは終始笑顔で進行。安心・安全な場の雰囲気の形成に徹してお・ワークショップの主旨説明・対話の種類についての解説・対話に臨むアティチュードについて・自己紹介、今の気持ち、対話についての記憶・2つのグループに分かれての対話・休憩、個人での振り返り・再びグループに分かれての対話・ 休憩、個人及びグループでの振り返り後、参加者全員で対話と振り返りの共有・質疑応答とファシリテーターからのまとめ「emochan(エモチャン)」は、職場のおもちゃメーカー(株)KOUが開発した、対話を楽しく、安心・安全に促すために感情を表明するためのソリューションツール。ウキウキ(喜び)、ワクワク(期待)、ドキドキ(動揺)など8つの感情を色と絵で表したものを、対話するメンバーが使用。リアルの対話用のカードと、オンライン会議用のバーチャル背景がある。https://emochan.jp前提となる認識を揃え、安心な場で対話がスタート図1 ワークショップの流れ図2 対話とは?図3 対話に臨むアティチュードイントロダクション (25分間)チェックイン (25分間)グループセッション❶ (60分間)個人での内省 (25分間)グループセッション❷ (25分間)個人、グループ、全体での振り返り (40分間)チェックアウト (10分間)「対話(dialogue)」とは、あるテーマについて、互いの意見や意図、経験や感情を本音で共有し合い、お互いを深く理解し合っていくためのコミュニケーション手法対立を乗り越え、新たな価値を創造する「対話」新たな考えを生み出す対話とは?112021 MAY Vol.437

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