キャリアガイダンスVol.437
39/66

1959年創立(高校)。英語教育をはじめとする多様な国際教育を特色にもつ。生徒の目標別に4つの類型制システムを導入。放課後、長期休暇中に幅広い教科・科目の講座を設置し、難関校進学や部活動との両立など生徒の希望を叶えるための学習環境づくりに定評がある。2000年に中学校が設立された。専修大学松戸中学校・高校(千葉・私立)まとめ/長島佳子 撮影/松本崇志 「卒業生が頻繁に訪れる学校」、それが本校の強みです。生き生きと仕事をし、国内外で社会に貢献している近況を報告しに来てくれます。私自身、若手の頃は「報恩奉仕」という建学の精神を具体的にイメージできていませんでしたが、大勢の卒業生たちの姿こそ、その体現であると確信しています。特に、中高一貫校の1期生である、当時13歳だった生徒たちが30代中盤に成長し社会に必要とされている姿に、建学の精神を実感できるようになりました。 こうした生徒たちを育てるため、本校は長年、国際教育に力を入れてきました。中学校では2002年から全員がアメリカ修学旅行を経験。真の国際人となるべく、自国の文化も理解するために、田植えや稲刈りなどのフィールドワークや日本の伝統芸能の芸術鑑賞も実施しています。 高校では国際教育とともに地元に即した活動も重視し、ボランティア活動を必須としています。また、放課後や長期休暇中に100種類以上の講座を開講し、塾に通わなくても部活と学習の両立や難関大学への挑戦ができるようサポートしています。 今年度からはさらに、総合的な探究の時間に、SDGsをテーマに課題研究をしていきます。1学年では17項目から自分の興味を基に選んだテーマについて学びます。座学だけでなく実体験によって学びは深まるため、2学年では沖縄での総合研修旅行で、おのおののテーマに関連した場所を訪れることを計画しています。3学年ではそれらを基に、興味と学問を一致させられる進路指導を行います。 この春に新任校長を拝命した私が最重要視していることは「授業ありき」。学校の基本に立ち返り、「すべての教科・科目で魅力ある授業を提供する学校」として地域に認識していただくことを目指しています。現場をしっかり理解する目的から、私自身も授業を受け持ちます。 私が授業で大切にしているのは、実践と受験の両方に強いこと。その信念の源は、高校時代に1年間アメリカに留学した経験です。異国の環境に身を置くことで「実体験」の重要性に気づくとともに、学校での英語授業をきちんとやってきたかということも留学先での成長に影響すると実感したからです。この経験により、生徒が興味をもてる授業を組み立て、説得力をもって生徒たちに伝えられます。多様な人生経験に基づいた教員自身の学びから生まれる授業は、教科を問わず生徒が主体的に臨めるものになると考えています。 経済の低成長など元気が足りない日本ですが、それでも、読書から学べること、家族や友人とのつながり、旅からの発見など、人生の根本的な楽しさは変わりません。そうした人生の喜びを伝え、生徒に未来を託せる教員集団でありたいと願っています。ごみ・ひかる/1970年生まれ。小学生時代から教員に憧れ、日本史オタクだったことから社会科教員を志していたが、高校時代のアメリカ留学の経験から「英語はやれば誰でもできるようになる」と確信し、英語科教員を目指す。早稲田大学教育学部英語英文学科卒。1994年、専修大学松戸高校に英語科教員として初任。1998年、同学中学校開設準備室メンバーとして学校設立に関わる。2000年、中学校開校とともに1期生の学年主任を務める。2019年中学校教頭就任。2021年より現職。「報恩奉仕」の建学の精神を卒業生たちが体現魅力的な授業で地域から選ばれる学校を目指す392021 MAY Vol.437

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る