キャリアガイダンスVol.437
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432021 MAY Vol.437先生: 前回の進路希望調査と、進路の希望がずいぶん変わったみたいだけど?生徒: はい。父が司法書士事務所やっていて、跡を継ぐには法学部じゃないとダメだって。先生: 親の後を継いであげたいという気持ちが大きくなったのかな。生徒: まあ、そうですね。法学部行くものだって、最初から決めているみたいだし。先生: それに対して、きみの気持ちはどうなのかな?生徒: …。仕方ないかなとは思うけど…。先生: 少し後悔が混じりそうだね。生徒: 就職試験の面接、全然受かんないんだけど。もう、受かる気がしない。先生: そうか。面接って、自分の良いところを見てもらう場なんだけどね。どうしてダメだったか一緒に考えてみようか。生徒: う~ん。まあ、そこそこ話はできたと思うんだけどなあ(足を大きく開いて、少し貧乏ゆすりをしている)。先生: 話はできたんだね。ちなみに今、結構足開いているのが先生は気になったけど、面接の時はどうだった?生徒: ああ? そういえば、あんまり気にしてなかったかも。先生: そろそろ進路のこと、決めないといけない時期になってきたけど。生徒: はい…。先生: 大学進学はする予定なんだよね。生徒: はあ、まあ。周囲もみんな大学行くって言うから、そうかなって。先生: (DESC法を用いて、この面談に対して先生自身が感じている困惑を伝え、提案を行う)とはいえ、大学の情報を何かで見たりはしていない?生徒: ああ。このサイトはたまに見てる(と、スマホを出す)。<例えば、こんなやりとりへ><例えば、こんなやりとりへ><例えば、こんなやりとりへ>苅間澤先生のワンポイントアドバイスアサーティブな関わりは、授業や校内活動に必須です『改訂版アサーション・トレーニング-さわやかな<自己表現>のために-』平木典子著 日本・精神技術研究所(※)アドラー心理学の「課題の分離」は、キャリアガイダンスVol.434 P.43-45もご参照ください。 自己主張がうまくない生徒との面談で大切なことは、その時困っているのは誰かを明確にしていくことです。それを知る枠組みとして、トマス・ゴードンによる教師学の「行動の四角形」やアドラー心理学の「課題の分離」などが役立ちます(※)。困っているのが生徒であれば、教師はまず傾聴すること。教師自身が困っているのであれば、理性を取り戻すこと。その上で、今回ご紹介したDESC法を用いた問いかけをしていくと、わかりやすくなるはずです。 人との関わり方がうまくない生徒が増えているなかで、学校によってはソーシャルスキルトレーニングを導入されるなど、工夫を凝らしておられるでしょう。アサーションもまた、人との関わりを向上させていくための重要なスキルです。特に、お互いを尊重し、認め合うなかで自己主張をしていくアサーティブなコミュニケーションは、まさにアクティブラーニング型の授業や多くの学校内の活動で欠かせません。アサーション・トレーニングというくらいですから、日頃の反復練習をぜひ意識してみてください。『自己主張トレーニング改訂新版』ロバート・E.アルベルティ他著東京図書

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