現に向けて邁進する。学年ごとのテーマに応じて、助産師による講話や体験プログラムからなる「愛といのちの研修」やSDGsに関する社会課題をテーマにした探究活動などの学校独自の取組のほか、外部企業と連携した企業インターンシップや探究プログラム、コミュニケーション研修、チームプロジェクトワーク、大学・学問の学内説明会などを実施。生徒は実践と振り返りを繰り返しながら、「自分はどうなりたいのか。そのためにはどうしたらいいのか」という大きな問いに向かって思考を深め、その履歴をeポートフォリオに蓄積していく。 一方、進路の実現に不可欠な自己管理力を養うために採用しているのが、学校オリジナルの手帳「聖園ノート」だ。5年ほど前から、中1から高3まで全員に毎年1冊ずつ配布している。見開きが週単位になっており、毎日の学習や生活のスケジュールに加えて「振り返り」が書き込めるようになっているのが特徴だ。「最初に使い方を指導して習慣化させることが肝心なので、中学1年次は教員への提出を必須にし、教員もコメントを返すなど丁寧に指導しています。導入当初はスケジュールの部分が学校にいる時間帯だけだったのですが、その後、24時間に拡張しました。これにより教員は生徒の学校外での生活や学習の状況を把握できるようになり、生徒にも私生活でもちゃんと自己管理をしないといけない…いう自覚が芽生えたようです」(鴨志田先生) また、ノートには定期テストや模擬試験の結果や振り返りを記録するための別冊が付いており、テスト返却後に記入時間をとっている。「聖園ノートがないころは、担任が定期試験ごとに学習計画シートなどを配布して書かせていたのですが、それだと連続性がなくて。1冊に年間の記録を書き溜めていくことで成績や意欲の推移なども見えるので、教員は把握がしやすくなり、生徒も取り組みやすくなったと思います」(渡邊先生) 聖園ノートは個人面談にも活用。高校生になると使い方は各自に任せているが、「自己管理や進路実現のためにうまく使ってくれている生徒が多い」と言う。 自分の生き方や進路につながるさまざまな機会を設けている同校だが、「大事なのはやったことをそこで終わらせず、丁寧に振り返ること。そして、それを継続したり履歴に残したりして積み上げていくこと」と鴨志田先生は言う。「進路選択って、これを経験したからこういう大学・学部を選びました、という単線的なものではないと思うんです。積み上げたものがあれば、いざ進路を考えるようになったときに指針の一つになり得るだろう。そう考えて、できるだけ多様経験の振り返りと蓄積を紡いで自分の進路を具体化する進路の実現に不可欠な自己管理力を養う「聖園ノート」2年次の課題は、1年次の4テーマを発展させた(1)生き方の候補、(2)卒業後に研究する学問領域の候補、(3)進学先の候補、(4)受験科目、(5)高校3年生の選択科目、(6)活用する入試制度、(7)生活・学習時間(現状)、(8)生活・学習時間(9月以降)、(9)進路実現へ向けての準備、(10)進路実現へ向け、保護者と準備、(11)オープンキャンパス 大学チェックシート、の11項目からなる。自己理解:1年次のみ生き方の候補:2年次のみ進路実現に向け、保護者と準備:1・2年次共通ツール1夏期「進路課題/進路考察」(2020年度) ※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 発行メディアのご紹介>> キャリアガイダンス(Vol.437)462021 MAY Vol.437
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