1925年に教育者の賀川宣勝と古賀米吉によって船橋実科高等女学校として開校。1996年に東葉高校と改称。2005年より共学となる。建学の精神は「人間尊重の精神」「個性尊重の教育」「第三教育の実現」。部活や校外活動に注力したい生徒は週5日制、勉強を重視したい生徒は週6日制が選択できる。朝活、東葉塾など授業外の学習時間も充実。2020年現在26,540校に広がる「朝読書」は東葉高校が発祥(学校ホームページより)。東葉高校(千葉・私立)まとめ/石井栄子 撮影/坂本ひろし 本校は、2025年に100周年を迎える歴史のある高校です。しかし、2016年に副校長として着任したときは、定員割れが続き偏差値も40前後。生徒は自己肯定感が低く元気がありませんでした。まずは、この生徒たちが毎日楽しくわくわくでき、人に自慢したくなる学校にしようと、翌年、校長に就任してからは「校長が変われば学校が変わる」と自ら宣伝し、大胆な学校改革に着手しました。 そのうちの一つが「この指とーまれ」企画です。お笑い芸人や、起業家、コーヒーバリスタなどをゲストに迎えたり、企業から接客を学んだり、夜にホタル観賞に行くなど、生徒たちが「うちの学校、面白い」と自慢したくなるイベントをほぼ毎月開催。「この学校を選んでよかった」と、生徒自身をはじめ、保護者にも話題にしてもらうことを目指しました。生徒たちも次第に積極的になり、自主的に企画を出す動きも出てきました。 しかし、ただ面白いだけで授業を軽視するようでは、学校の存在価値はありません。毎年、生徒による授業満足度アンケートを行い、教員研修でベスト10の先生を発表します。授業力の評価が向上した先生には、生徒のハートを引き付ける秘訣を発表してもらい、皆で称えます。4段階評価で3.5以上の教員は、改革1年目は28%でしたが、4年目の今年は53%まで向上しました。 着任以来、授業、学級経営、進路、部活、校務、職員会議に至るまで、年間100項目以上の改革目標をかかげ、PDCAサイクルを回しながら実践してきました。その結果、受験者数・入学者数とも著しく増加し、偏差値も向上。しかしここで満足せず、改革を継続し、2025年には偏差値60を目指しています。今年度からは、人気の特進クラスを1クラス増やし、難関国立大学合格に照準を定めたS特進クラスとします。また、勉強が苦手な生徒も大学合格を勝ち取れる独自の「超攻撃的なカリキュラム」をスタート。その他、ネイティブ副担任の配置、英検2級全員合格など、強気の改革を進めています。 しかし、単なる進学校ではありたくない。学歴は大事ですがこれからの時代、それだけでは闘っていけません。看護、ICT、スポーツや芸能、何でもいい。何か人と違う専門性を身につけてほしい。海外活動や起業にも果敢に挑戦してほしい。今すぐでなくてもそのようなマインドをもつことが大事だと思います。 学校としての次の課題は、ミドルリーダーの育成です。決断するのは校長の仕事、現場の先生と協力し実行力を高めていくのはミドルリーダーです。彼らが力を発揮し活躍できるようチーム作りに邁進しています。 コロナによって世の中は大きく変化しました。当校でも授業や学校行事のスタイルが大きく変わりました。職員会議や保護者会もリモートです。変化を好機ととらえ、教員の働き方改革にもつなげたいと考えています。にしむら・かつら/1960年生まれ。千葉大学教職大学院スクールマネジメント科修了。子どもの頃からの旺盛なチャレンジ精神があだとなり、命にかかわる大事故を何度も経験。運よくもらった命を人のために使いたいと教師を志す。初任校の市川学園で、着任早々、弱小野球チームを地区大会優勝に導いた。40歳で学校改革委員、42歳で広報部長となり、斬新な施策で人気校に。5年で偏差値10アップ、東大2桁合格者を出すなど目覚ましい実績を立て続けに上げる。2016年に東葉高校に着任、翌年校長に。ぶれず、めげず、あきらめず、日々創意工夫を続けることが信条。生徒が自己肯定感を回復し自慢できる学校にすることが第一歩現状に満足せず、改革を継続専門性も身につけられる学校へ492021 MAY Vol.437
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