512021 MAY Vol.437トからのコピペばかり」…校内外から厳しい意見が担当分掌に届くようになった。当初より連携してきた市役所からは「毎年300人の受け入れはきつい」「いつまで続くのか」。教員からも「教員の負担が大きすぎる」「進学校がここまでやる必要はあるのか」といった声が上がるようになった。 「立派なワークシートと素晴らしいプログラムができ上がったが、それだけではうまくいかない。プログラムに魂を込める必要性を痛感しました」(谷口典雄先生) 残された分掌メンバーは、混乱に陥りながらも、PBLを「メンバーが入れ替わっても取り組まれ続けるものにしていきたい」と動き始めた。 「PBLの取組を、単に業務を引き継ぐのではなく、学校の〝文化〞として継承していきたい。それには、先生方一人ひとりと、なぜPBLの取組が必要なのか、どう生徒を成長させるかを共有し、学校全体が一つのチームとなることが必要だと考えました」(永田先生) そこで力を入れたのが、〝語り合う場〞としての教員研修だ。この2年前より、同分掌は教員自主研修会を実施していた。希望者がマグカップ持参で集まり、視察・研修報告やゲスト講師の話を基に、グループに分かれて意見交換するという内容だ。自由に発言できる雰囲気の中、グループ討論は大いに盛り上がり、生徒や学校への思いを共有する場となっていた。 19年度、その対象を全教員に拡大。「USUI7」やPBLの意義などをテーマに年間5回開催した。20年度のコロナ禍による臨時休校期間中には、オンラインでつながり、生徒の視点に立って学校・教員として今できる支援について共有。また、PBLにありがちな場面を挙げてどう対応するとよいかを話し合う、指導に直結する内容でも実施した。生徒数約900人の比較的大規模な普通科単独校。2015年度よりOECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN)に参加(20年9月末第2期終了)。16年度より総合的な学習の時間にPBLプログラムを導入。生徒の特徴を踏まえ、修得を目指す資質・能力を掲げた学校教育目標「USUI7」を設定し、PBLを中心とした学校教育全体での育成を図っている。1963年設立/普通科生徒数879人(男子480人・女子399人)進路状況(2021年3月卒業生)大学287人・短大4人・専門学校33人就職3人・その他17人福井県福井市羽水1-302 0776-36-1678同部(2学年担当)髙嶋郁子先生同部(3学年担当)谷口典雄先生同部(1学年担当)永田卓裕先生同部(2学年担当)髙橋美由紀先生同部(1学年担当)松田充弘先生探究企画部 部長澤田則義先生教員が語り合い取組に魂を込める20年度の臨時休校時にはオンラインで教員研修を実施。※赤字が各学年の重点項目図1 学校教育目標~これからの社会を生き抜く力「USUI7」の育成~1.自己肯定感2.傾聴力3.省察力4.協働力5.課題発見力6.課題解決力7.市民性※先生・生徒の所属・学年などは取材時のものになります
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