キャリアガイダンスVol.437_別冊
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3Vol.437 別冊特集落ち着いてきました。コロナ禍で離職率が高まっているので、一時的に求人数は増えていますが、あくまで短期的なものだと思います。今はそれよりも地域の在宅医療を支える訪問看護の領域でニーズが高まっています」(関口氏) ところで、看護師養成施設には大学もあれば、短大、専門学校もある。それぞれどのような違いがあるのだろうか。 「看護師国家試験はいずれの学校を卒業しても受験できますから、それなら学費の安い国公立か専門学校を選ぶという層もいますし、大学・専門学校を問わず国家試験の合格率を重視する層もいます。しかし、看護師養成施設としての基本的カリキュラムは共通していても、学校ごとに教育内容や実習環境には違いがあり、その点にも注目してほしいと本校でもガイダンスしています。例えば、附属病院がある大学や総合病院と連携している大学・専門学校では高度な急性期医療を現場で学ぶことができますし、地方の公立大学・専門学校などでは地域医療を重視した教育に取り組んでいたりします。あるいは、理学療法士などほかのコメディカルを育成する学科が充実し、チーム医療を実践的に学べる医療系総合大学もありますし、助産師や保健師などほかの資格が取得できる大学もあります。よく大学がいいか専門学校がいいかという質問を受けますが、校種の区分よりも個別の学校の教育内容に目を向けてほしいですね」(関口氏) ただし、教育内容で学校を選ぶとなると、高校生の段階で、「将来どのような看護師になりたいか」をある程度明確にしておく必要がある。しかし、看護師志望者は認定看護師のなり方と認定看護分野図3「看護師になる」ことがゴールになってしまいがちで、その先のキャリアを描けているケースはまだまだ多くない。そう指摘するのは看護師へのキャリアカウンセリングなどに携わるNPO法人看護職キャリアサポート代表の濱田安岐子氏だ。 「看護師の養成においては看護の知識・技術・姿勢を身につけるための専門職教育が中心であるため、キャリアデザインという考え方は以前はあまり重視されていませんでした。また、看護師となって現場に入ると、目の前の患者さんのケアが最優先となり、なかなか将来のキャリアについてじっくり考える機会がない。もともとその習慣もないですから。そのため、学生の段階でどのような看護師になりたいかを考え、自分の軸をつくっておくことが実は大切なんです」 看護師のキャリアは図2に示したように、スペシャリスト、ジェネラリスト、マネジメントの3つに大別できる。この先には、例えば、教育研究、国際看護師といった選択肢もある。これに加えて、総合病院で働くのか、地域の専門クリニックで働くのか、在宅医療を支える訪問看護師として働くのかといった働く場に関する選択肢もある。それらを総合して自分なりのなりたい看護師像をある程度具体的に描いておくことがポイントだ。ただし、情報とイメージだけで将来像を思い描くことにはリスクもあると濱田氏は言う。 「看護師は人の生死に関わる仕事ですし、コロナ禍に象徴されるように苛酷な環境に置かれることもあります。そこで使命感をもって働き続けるためには、『自分を見つめる』というプロセスが非常に大切になります。自分がどう生きたいのかということと看護師のキャリアイメージ図2研修や大学院での学びを経て、認定看護師、専門看護師、診療看護師などの資格を取得して、特定分野の専門性を深める幅広い経験と知識を活かして、どのような患者に対しても現場のエキスパートとして対応できる看護師を目指す組織をまとめ、率いる力を段階的に養いながら、主任→看護師長→副看護部長→看護部長とキャリアアップするスペシャリストジェネラリストマネジメント新人看護師(1〜2年目)中堅看護師(3年目〜)資格取得までのプロセス認定看護分野(2020年度から教育開始となった新区分)5年以上の実践経験認定看護師教育認定看護師認定審査感染管理がん放射線療法看護がん薬物療法看護緩和ケアクリティカルケア呼吸器疾患看護在宅ケア手術看護小児プライマリケア新生児集中ケア心不全看護腎不全看護生殖看護摂食嚥下障害看護糖尿病看護乳がん看護皮膚・排泄ケア認知症看護脳卒中看護資格取得

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