キャリアガイダンスVol.438
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 既に探究に取り組んでいる学校に4つの力を提示し取組による生徒の変化をたずねた(次ページの図12)。変化(向上)を感じている割合は「主体性・多様性・協働性」70%、「思考力・判断力・表現力」62%、「学びに向かう姿勢・意欲」58%で、これら3つの力は半数以上で実感されている。一方「基礎的な学力(知識および技能)」は29%と、探究と基礎的な学力をどうつなげていくかは模索中の学校が多いようだ。ほかにも、フリーコメント4からは、学び合いの姿勢や自己肯定感の向上など、さまざまな生徒の変化が感じられている。「総合的な探究の時間」取組状況別に比較すると、いずれの力も「学校全体で組織的に」取り組んでいる学校ほど「そう思う」という割合が全体に比べて5ポイント以上高い。取組の狙いや育成したい力を教員間で共有し連携することで相乗効果を生み、良い流れが作られていると思われる。 総合的な探究の時間は、93%の学校で取組が進み、「学校全体で組織的に取り組んだ」37%、「進路指導部等、分掌が主導で取り組んだ」16%、「学年や課程・学科・コース単位で取り組んだ」32%と、組織的対応・計も85%にのぼっている(図10)。設置者別では国公立で組織的対応が9割近くと高く、さらに、うち4割が「学校全体」での取組であった。大短進学率別では進学率の高い層ほど「学校全体」での組織的取組が進んでおり、95%以上の進学校では53%を占める。 また、新学習指導要領で求められる「総合的な探究の時間をカリキュラム・マネジメントの中核に位置づけること」についてたずねたところ(図11)、「既にカリキュラムの中核に位置づけている」は31%、「次年度(21年度)以降、中核に位置づけようと考えている」は28%で、今年度までに「位置づけている・計」の割合は合わせて58%と、前回の2018年調査の35%から大きく増えている。学校全体での取組は37%今年度6割が中核へ位置づけ探究による向上は「主体性・多様性・協働性」が7割「基礎的な学力」は3割総合的な探究の時間組織的な取組に移行させつつ、具体的な資質・能力の育成、進路との接続へ「総合的な探究の時間」の取組体制 (全体/単一回答)図10カリキュラム・マネジメントにおける「総合的な探究の時間」の位置づけ (全体/単一回答)図11位置づけている/位置づけたい・計導入・計位置づけている・計組織的対応・計2021年2021年全体全体1,1561,1562018年設置者別大短進学率別全体国公立私立95%以上70~95%未満40~70%未満40%未満1,20384930119231324040574.193.358.184.930.536.717.840.226.253.139.934.627.227.616.316.031.813.68.516.816.615.610.918.818.815.619.030.535.918.226.830.443.219.47.112.610.98.610.46.20.60.52.80.60.30.50.60.711.76.124.25.19.36.35.15.87.253.694.390.493.294.294.292.134.687.377.782.385.683.885.9位置づけている/位置づけたい・計導入・計位置づけている・計組織的対応・計n数n数(%)(%)「総合的な探究の時間」を、既にカリキュラムの中核に位置づけている次年度以降、カリキュラムの中核に位置づけようと考えている中核に位置づけたいがどうしてよいかわからない「総合的な探究の時間」を中核に位置づけたカリキュラム・マネジメントは考えていないわからない無回答学校全体で組織的に取り組んだ進路指導部等、分掌が主導で取り組んだ学年や課程・学科・コース単位で取り組んだプロジェクト等、一部の教員で取り組んだまだ「総合的な探究の時間」に移行できていない無回答「高校教育改革に関する調査2021」結果詳細はリクルート進学総研サイト(http://souken.shingakunet.com/research/)でご欄いただけます。教育、進路指導をどう転換していくか?「高校教育改革に関する調査 2021」調査レポート172021 JUL. Vol.438

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