キャリアガイダンスVol.438
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は2割にとどまった。フリーコメント5からは、入試での活用が不透明ななか、そこに照準を合わせた指導の難しさや教員や生徒の負担増などの課題が指摘されているが、先生方は、生徒が自身で振り返るという行為によって、「進路を深く考えるようになった」などのプラスの効果を感じている様子もうかがえる。 なおデータは割愛するが、今後の活用意向を見ると、未導入校でもそのうち51%が「今後は導入・活用したい」と答えており、全体では8割以上となっている。「JAPAN e-Portfolio(JeP)」の運用許可の取り消しや現場運用の課題はあるものの、「自ら学習を振り返って、主体的に学びに向かう力を育成する」という本質的な意義は、多くの高校で認識され、取り組まれていると言えるのではないだろうか。 ここからは進路指導やキャリア教育の変化について見ていく。 まず、ポートフォリオについては、「学校全体、もしくは一部で導入・活用している」学校が78%と前回調査(2018年、データは割愛)の71%からさらに伸びた(図14)。設置者別では大きな差はなく、大短進学率別では40%未満の学校で71%と最も低い。 導入・活用の理由を見ると(図15)、「生徒に振り返りや見通しを考えさせるため」82%が突出して高く、「生徒が自らの成長を確認できるようにするため」59%、「教員が生徒の学習や活動を把握するため」37%と続く。「入学者選抜の合否判定に活用されるため」導入率は78%。導入理由「生徒に振り返りや見通しを考えさせる」が8割「ポートフォリオ」を導入・活用している理由 (「ポートフォリオ」導入校/複数回答)図15生徒に振り返りや見通しを考えさせるため生徒が自らの成長を確認できるようにするため教員が生徒の学習や活動を把握するため生徒に主体的な学びを促すため進路選択に向けて計画を立てやすくするため教員が生徒への指導・アドバイスに活用するため生徒の成長意欲を高めさせるため入学者選抜の合否判定に活用されるためその他特に理由はない40~70%未満40%未満18628970~95%未満26395%以上156大短進学率別2021年全体89882.158.736.931.629.028.024.222.32.40.376.958.330.138.526.919.228.826.9 2.6 1.384.862.039.234.227.830.423.625.1 1.9―80.183.460.831.754.741.932.828.528.018.823.7 2.7―24.631.130.824.916.6 2.8 0.3801006040200(%)n数「ポートフォリオ」の導入状況 (全体/単一回答)図142021年全体1,156設置者別大短進学率別国公立私立95%以上70~95%未満40~70%未満40%未満84930119231324040577.776.780.781.384.077.571.422.323.319.318.816.022.528.6n数学校全体、もしくは一部で導入・活用している導入・活用していない無回答2021年 全体95%以上70~95%未満40~70%未満40%未満※「2021年 全体」の降順ソート  ※「2021年 全体」より5ポイント以上高い数値を■色で表示ポートフォリオ入試との接続、負担増を懸念しながらも、生徒の成長促進を主目的に導入が進む38.541.9●大学入試においてどのように活用されるのかが不明確で指導が困難(北海道/私立/普通科)●これまでを振り返り、今後を展望する生徒が増えた一方で、生徒、教員の負担増が心配(東京都/私立/普通科)●学校行事、定期考査や模試等について振り返りをさせ次の活動にどう活かしていくかを考えさせているので、ポートフォリオにしっかり取り組んでいる生徒は自分の進路について深く考えるようになっている(奈良県/私立/普通科)ポートフォリオ活用について社会も教育も変わる今、進路指導・キャリア教育に求められる次の進化とは(%)202021 JUL. Vol.438

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