キャリアガイダンスVol.438
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 普通科に「総合キャリア」「発展キャリア」「特進文理」「保育」「6年一貫」の5コースを設置する四條畷学園高校。職業を知る講座や大学・専門学校の授業体験などを組み込んだ3年間の計画的な進路指導を行い、卒業後は約9割が大学・短大・専門学校に進学している。進路指導部長の持永先生は、このプログラムにより進路決定時期が早まっている効果を感じる一方で、生徒の視野の狭さに問題意識をもつ。 「進路を早く決めて安心したい気持ちから、指定校推薦のなかから選ぼうとする生徒が多い。誰かから与えられるのではなく、生徒自身がやりたいことをしっかり考え、自分で進路を決めることが大切ではないか」(持永先生) それに対する突破口を開きつつあるのが、2019年開設の発展キャリアコースで始めた新しい取組だ。 その特徴の一つは、多様な外部機関・講師と協働し、社会でどう生きていくかを考えさせる活動の充実にある。教員は日頃からアンテナを立てて連携先を模索しており、これまでNPO法人、ミネルバ大学生、生命保険会社のライフプランナーなどとの協働による多彩な講座やワークショップを実施し、生徒の興味関心を最大限に引き出してきた。20年度は新たに、学生と社会人が当たり前に関わる社会づくりを目指す団体ANOTHER TEACHERと共に1週間の交流イベントに挑戦。団体と議論を重ねて内容を練り、コロナ禍で軌道修正を図りながら、多様な職業のキャリアをもつ社会人16人の生き方についての講義と、社会人7人が生徒の悩みにアドバイスするワークショップをオンラインで開催し、好評を得た。 「教師だけの狭い世界観に生徒たちをとどめないよう常に意識。イベントのほか、新聞を活用した時事問題ワークの導入などで、生徒の社会への関心はずいぶん高まってきています」(発展キャリアコース・岡本先生) しかし、「社会に触れるだけでは、生徒自身の目標を見つけるには不十分」と岡本先生。「海外に興味があるから通訳」のように短絡的に考える生徒も多いなか、自らの興味関心を掘り下げて多様な進路の可能性を拓くため、「対話」を重視した支援にも取り組んでいる。それが同コースの進路指導のもう一つの特徴である。 教員も日頃から生徒一人ひとりへの声かけを心掛けているが、加えて、3学年では国際教養大学の学生団体と連携した新しい取組を開始。探究活動を深めるサポート役として生徒に一人ずつ大学生が付き、Slack(メッセージングアプリ)やZoomで生徒からの質問や相談に対応している。「教員志望の学生たちということもあって問いかけがうまく、丁寧に生徒の思考を広げてくれる。対話の内容は探究テーマにとどまらず、生徒は進路の相談をすることも。年齢の近い学生の協力によって、生徒の想いに寄り添ったアドバイスを組織的に行っていければと考えています」(岡本先生) Slackのチャンネルには担任も参加し、対話履歴は文書にまとめてGoogle上で共有。また、教員側と学生側のリーダーは定期的に連絡を取り合い、足並みを揃えている。「促す・紹介する・見守る・褒める、を進め、『教師』の定義を組織的なファシリテーターに変えていきたい」と岡本先生。 こうした新しい取組のなか、生徒の進路選択にこれまでにない傾向が見られるようになった。今年度3学年になった同コース一期生には、難易度にとらわれず、自分の興味関心を軸にした多彩な進路希望をもつ生徒が多い。 「生徒の中に、自分の興味関心を大切に進路について考えようという意識が育っています。だから、ちょっとしたきっかけで『これだ!』と思った瞬間、ものすごいスピードで変わっていく。この子こんなに意欲的やったんや、と新たな一面を見せてくれる生徒もいます」(岡本先生) 発展キャリアコースでの取組を参考に、今後は他コースの進路指導も見直しを図り、より多くの生徒の可能性を広げていく計画だ。そのなかで、現在はごく少数である高卒就職という選択肢にも光を当てる。 「きっかけは単純に、うちの学校はなぜこんなに就職者が少ないんだろう?と思ったことです。やりたいことが明確にあるなら、進学せずに就職する選択もあるはずが、現状は『なんとなく進学』が多い。本当にやりたいことに向かって何が最も良いのか、就職も含めてもっとフラットに考えてもいいのではないでしょうか」(持永先生) 第一段階として、20年度から就職支援企業(株)アッテミーと協働した求人開拓や就職指導を開始。教員の指導スキル向上とノウハウの蓄積を図り、生徒が自分の将来を切り拓いてやりたいことを実現できる“進学でも就職でも頼れる学校”を目指している。 「生徒の進路選択を狭めているのは、実は教員の固定観念が大きいのかもしれません。まずは教員が進路指導に関する視野を広げることから始め、自分でしっかり考えて進路を決められる生徒を育てていきたいと思います」(持永先生)四條畷学園高校(大阪・私立)“なんとなく進学”を打破し、やりたいことを軸に進学も就職もフラットに選べる進路指導へ“外部連携”と“対話”を重視した新コースの挑戦を突破口に高卒就職にも光を当て支援体制を整備左から、発展キャリアコース第3学年(1期生)担任・岡本創太先生、進路指導部長・持永大輔先生。取材・文/藤崎雅子•パイロットについて•海外で働くということ•起業までの道のり•これから求められる IT 人材•大学は何の為に行くの?•これから求められる社会人としての素質•夢の見つけ方       …など■ANOTHER TEACHER企画講義例進路指導・キャリア教育252021 JUL. Vol.438

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