キャリアガイダンスVol.438
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―高校教育改革に関する調査レポート(8〜26ページ)の抜粋を皆さんにも見ていただきましたが、気になったデータはありましたか。勝部 「社会で働くにあたって必要とされる能力と現在もっている能力」(図18・29ページに再掲)の結果が、大変興味深いですね。先生たちは、社会で働くうえでは主体性や課題発見力が必要だと感じているのに、生徒が現在もっている力として挙げたのは、規律性や傾聴力なわけです。身につけさせたい力ともっている力に相関がみられないということにハッとさせられました。実際の学校生活を思い返すと、指示に「従わせる」などの場面は多く存在しますが、主体性や課題発見力を養うための手立てや場面は相対的にはまだ少ないのかもしれません。真下 10年後の世界や日本の立場を考えたら、規律性や傾聴力ばかり高かったら物事が回らないという危機感がすごくありますね。 一方で私は、このコロナ禍で授業もうまく回らなかったなかで、わずかながらでも生徒の主体性が上がっていることに着目しました。「大変だ」とばかり言うのではなく、生徒たちがこれだけ進化したと褒めてあげるのが我々教員の仕事なのではないでしょうか。さらに、生徒の主体性の成長には、大変な環境変化も機会と捉えありたい学校の姿をつくっていくには教育改革まっただ中でのコロナ禍は、学校現場に混乱をもたらした一方で、ICT活用や教員間の対話の増加など変化の推進となった側面もありました。激動の1年を経験した管理職の先生たちに、昨年度の取組の振り返り、これからにつながる兆しについてオンライン座談会で語り合っていただきました。埼玉の県立高校で保健体育教諭として従事。県立総合教育センターの指導主事、埼玉県庁県民生活部スポーツ振興課主査を経て、2019年に越谷南高校の教頭に就任。同校のICT導入を積極的に進め2021年より現職。埼玉県柔道連盟の強化委員長も務める。三郷高校(埼玉・県立)勝部 武教頭長野の県立高校で地歴・公民教諭として従事、多数の高校で教頭・校長職を歴任。2014年、長野県教育委員会・教育次長に就任。長野県独自の新設科目「信州学」の設置など、地域と繋がった学びづくりを進める。2018年より現職。市立長野高校(長野・市立)菅沼 尚校長埼玉の公立中学校・県立高校で生物教諭に従事、埼玉県立総合教育センター県立学校人事課、県立高校校長などを経て、2014年に大妻嵐山中学・高校の校長に就任。2020年より現職。2021年度より、同学附属小学校校長も兼任。昭和女子大学附属昭和中学校・高校(東京・私立)真下峯子校長大阪の府立高校で保健体育教諭として従事。サッカー部の指導にも情熱を注ぐ。首席、教頭職を経て、守口東高校、刀根山高校の校長職を歴任し、2021年より現職。現場で教鞭を取っていた頃から赴任校でリーダーシップを発揮し、若手教員と共に学校改革を推進してきた。今宮高校(大阪・府立)安田幸一校長取材・文/長島佳子管理職座談会教育、進路指導をどう転換していくか?環境変化も機会と捉え ありたい学校の姿をつくっていくには272021 JUL. Vol.438

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