キャリアガイダンスVol.438
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生徒が主体性を発揮できる場を我々はどれだけ創れているか? (菅沼先生)我々教員がどれだけ保障してきたかが問われるべきだと。長野市は前年に千ちくまかわ曲川の決壊を経験し、その時に生徒たちは「地域のために何かしなければ」と自ら動き出し、そうした主体性をもっていることを我々は思い知らされました。災害やコロナ禍がなくても生徒が本来もっている力を発揮できる場面を教育の中にもっと取り入れていく必要性を感じました。勝部 おっしゃる通りだと思います。学校で慣習化・形骸化されてきた文化に対して一つひとつ見直しをかけさせられたのがコロナ禍であり、どの学校もカリキュラム・マネジメントと向き合わざるを得なかったのは、むしろ学びや学校を転換できるチャンスだと私は捉えました。―先生方ご自身は、激動の昨年度、それぞれのお立場でどのように学校運営をされてこられましたか。勝部 昨年度は前任の越谷南高校で教頭を務めておりまして、同校がICTに力を入れ始めた時期でした。2019年度にGoogle社と連携してICTの実証実験を始めており、その知見が溜まっていたことが功を奏し、昨春の一斉休業の際にはオンライン学習もすぐに決断し実施することができました。 先生たちに自由に授業動画づくりなどにチャレンジしてもらったりするなかで、最も感じたのは先生たちの変容でした。生徒に会えないときに生徒のために何ができるかを一生懸命考えて力を尽くそうとする姿を見て、ICT活用を進める価値や学校風土の変化の兆しを感じました。安田 昨年度は前任の刀根山高校の校長をしていました。コロナ禍に限らずですが、私自身が重要視している方針は、生徒に対しても教員の皆さんに対しても徹底的に寄り添うことです。 特に行事に関しては、先ほどもお伝えしたように生徒の思いを第1に考え、安易に中止にしない姿勢を示しました。教員と生徒が共に方法を考え、生徒たちは安全を心掛ける行動で応えてくれました。保護者の理解を得られないことを懸念しましたが、安全対策と国や府の指示内容を正確に共有することで乗り越えることができたと思います。 また、混乱のさなかでも「後手を踏まない」ことを意識し、かなり早い段階であらゆるケースを想定して準備しました。例えば体育大会であれば想定ごとの計画・スケジュール・役割等の変更案をいくつも準備し、さらに生徒の意思もその都度確認して反映。従来と比して大変なエネルギーを求められましたが、先生方がプロフェッショナルな教員集団として遂行してくれ時期に模索しながらがんばってきた教員の働きかけがあるはずで、その何が良かったのか。皆さんはどうですか?それを振り返って検証することで、教員の自信にもつながると思うのですが。安田 前任校での話になりますが、昨年は行事を重要視しました。今まで当たり前だと思っていたことが当たり前でなくなった。休業やさまざまな制限を受け入れながら、それでも生徒は行事をやりたいと願いました。じゃあコロナ禍でどうしたら安全にできるかを教員と生徒が一緒に工夫して、体育大会や文化祭のあり方を考え実施していきました。そのなかで生徒たちが主体的になっていったと思います。菅沼 本校も従来の行事は、前年をベースに多少工夫するくらいでしたが、それが通用しなくなったため生徒たちが知恵を絞り出し、生徒会活動などでも新しいことができるかもしれないという自信につながったようです。 でも私が思うのは、コロナ禍は生徒の主体性を引き出したひとつのきっかけで、そもそも今までの学校教育のなかで、生徒たちが主体的に動ける場を282021 JUL. Vol.438

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