キャリアガイダンスVol.438
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402021 JUL. Vol.438先生: 進路希望調査、まだ出していなかっただろう? 締め切り昨日だったよね。生徒: ああ、すみません。まだなんか決めきれなくて。先生: とりあえず何でもいいから、興味のあること書いて。生徒: 興味のあることねえ…。先生: (時計を見ながら)とにかく、みんなもう提出しているからさ。今日中に提出だぞ。生徒: はい、はい。生徒: 親が、どうせなら薬剤師目指せばって言うんだけど、これからでも受験勉強間に合う?(ソワソワしながら)先生: ちゃんとがんばらないといけないけど、理系科目が得意だから、可能性がないとは言えないよね。生徒: ふ~ん(上を見ていて)。でもさあ、そのあと6年も勉強するんだよね。先生: そうだね。それだけ専門性が高い証拠だけど。気になるようだったら、具体的に受験内容とか、資料を出そうか。生徒: 将来やりたい仕事っていっても、全然想像つかない。先生: そうか。仕事調べとか、ずいぶんがんばっていたようだけど。生徒: うん。でも、自分がやるのが想像つかないっていうか。先生: なるほど。面白いと思うのと、自分が働くっていうのとは、違うからなあ。 生徒: そうなんですよ~。先生: (成績表を見て)情報の授業、結構成績がいいじゃないか。生徒: ああ。中学で少しやってたから。先生: ITは成長産業だし、とりあえずここから探してみたら?ケース1ケース2ケース3説教モードのまま終わった声かけ─ 進路希望調査が未提出の生徒を廊下で見かけ、声をかける ─話の深まりが感じられなかった面接─ 生徒が、進路変更の相談をしたいとやってきた ─解決策に生徒が乗ってこない相談生徒との心の交流によるリレーションづくりを 生徒とのリレーションづくりでは、日頃から関係づくりが行われていることが大切です。関係づくりに欠かせないのは、1対1のパーソナルな触れ合いなど感情交流に基づく信頼感です。例えば、「おはよう」などの挨拶にも「今日は良い天気で気持ちがいいね」などちょっとした心の交流が図れるようなひと言を加えることによって、感情交流が図れます。そのような関係性を大切にする姿勢で生徒と接していると、このような場面での最初の言葉かけも変わり、短時間の立ち話も生徒の悩みや不安の解消に活かすことが可能になります。5分間の「チャンス面接」として、リレーションづくりを大切にしましょう。非言語のメッセージをしっかり受け止める急いで答えを与えるのではなく、一緒に考える 生徒の相談では、その言葉通りのことが問題なのではなく、別の課題が奥に隠れていることがよくあります。そのような本当の課題に迫るためには、言語だけではなく感情を取り扱うことが不可欠で、感情は、表情や仕草などの非言語メッセージとして伝えられます。ソワソワしている、目を逸らすなど、感情の動きを表す様子をしっかりキャッチし、「何か別に心配していることがある?」など質問を投げかけ深めていきましょう。話しづらそうにしているときは「はい、いいえ」などで答えられる「閉じられた質問」から始め、徐々に考えや思いを言葉にしていく「開かれた質問」を活用するなど、質問技法も工夫しましょう。 コーヒーカップ方式では、リレーションづくりや問題の把握がしっかりできると、解決方法や処置の方向性が自ずと明確になると言われています。とはいえ、解決方法を少しでも早く見つけてあげたいという思いが先行して方向違いの提案をしたり、自身の情報・知識不足から偏った意見を伝える危険性もあります。だからこそ、一方的に答えを提示するのではなく、生徒と一緒に協力して解決方法を探る姿勢も大切にしたいところです。また、自分一人で何とかしないといけないと思い込むのではなく、必要に応じて他の先生に任せるなど、生徒を手放す勇気も必要です。

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