キャリアガイダンスVol.438
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4~5月担当国調査元青年海外協力隊員による解説動画を見て各自が担当国を決め、調査を行う。6月企画動画作成(個人)各自、担当国の社会的課題解決策を動画にまとめる。7月プロジェクト選定企画を共有し、アンケート調査によって5人以上賛同者を集めた企画をプロジェクトとして選出。9~10月プレゼンテーション資料作成プロジェクトグループごとに活動。10月中間報告会外部有識者に向けて発表し、助言を受ける。11~2月課題解決策のための行動考案した解決策を実行に移す。2月成果報告1年間の活動をまとめたプレゼンテーション動画制作。3月成果発表会外部有識者や後輩に対しポスター発表し、講評を受ける。502021 JUL. Vol.438ダ、ミャンマー、スーダン、シリア、フィリピン)について、まずJICAや元青年海外協力隊員の出前講義(動画配信)で各国の現状を学び、一人ずつ担当国を選んで解決策のアイデアを動画にまとめる。それを全員で視聴した後、アンケートを行い、5人以上の賛同者を集めた企画を実行プロジェクトとして選出。各グループで内容をブラッシュアップさせ、実際に課題解決のための行動まで行う。節目には、外部から大学教員や有識者を招いて報告会を開催し、自分たちの企画や成果を表現する機会も設定している(図2)。 プログラム設計当初より、課題解決のアイデアを考えるだけでなく、実際に行動に移すことに重点を置いている。授業を担当するグローバル教育部長・山名和樹先生は、同校の生徒について「発表は比較的うまくできるが、行動に移すという点は弱い」と感じていたからだ。 「『言ったことはやろう』という単純なこと難しいものです。実際に生徒の学ぶ姿を通じて情報科の取組に関心をもつ先生方が増え、次の段階の連携につながっていくのではないでしょうか」(品田先生) 情報科との連携が最も進んでいるのは、2学年の総合的な探究の時間で実施している、発展途上国の課題解決にグループで取り組む「国際協力プロジェクト」だ。STEAM教育を導入する前から実施しており、その大まかな流れはこうだ。 対象国(21年度はモザンビーク、ルワンですが、学校現場がその環境をつくることが、問題点を指摘する声ばかりで動かない現代社会の姿を変えるのではないかと思います」(山名先生) 行動を促すため、生徒には1人500円の予算を配布。生徒がやってみたいということには「ダメ」とは言わず、自由に挑戦させる。また、生徒が出した考えは、批判や否定をせず、「それ面白いね」と認める。 「生徒が一生懸命考えたこと、やろうとしていることに、教員がどれだけ言葉として返してあげるかが、もう一歩のがんばりや発想の広がりにつながると思います」(山名先生) そんな国際協力プロジェクトが、STEAM教育導入後は情報科と年間計画上で連携。情報収集や企画書作成、プレゼンテーションなどを、国際協力プロジェクトで必要になる時期に合わせて情報科で学習するよう設計し、学んだことをすぐ実践的に使えるようにした。 「ほかの教科も含め、学んだ先にあるのは実の社会で〝活用〞することなのだと、この経験から見えてくるのではないでしょうか」(山名先生) 情報科の授業と国際協力プロジェクトは、正解のない問題に取り組むという点でも連動している。正解を求めることに慣れている生徒たちは、最初は戸惑い、「正解はなんですか」という質問が上がることもある。しかし1学年からの情報科のさまざまな学びや国際協力プロジェクトを通じて正解のない課題に取り組むうちに、生徒の意識は徐々に変化してくる。 「社会の諸問題に対し教員が正解をもたないのは当たり前との認識に。先生もわからないのだから、なんとか自分のもっている知識を総動員してやってみようという動きにつながっていると思います」(山名先生) 国際協力プロジェクト立ち上げ当初は募金や物資の寄付で満足する生徒も目立ったが、最近の課題解決策は多様で具体的になってきたという。 例えば、貧困率の高いグアテマラの教育問題に対し、講義動画の配信によって幅広い子どもたちに質の高い授業を提供することを提案したグループがある。アイデア自体は特殊なものではないが、特長は、自分たちでサンプル講義動画を制作して示した点だ。 「情報科の授業で取り組んだ、外国語の字幕付き動画の制作や、映像の合成などの経験を活かして取り組むことができました。経験があるからこそ、発想が生まれ、できることを組み合わせて形にすることができるのだと思います」(品田先生) SNSの活用も多く、ミクロネシアの肥満問題に対しラジオ体操を普及させようと考えたグループは、自分たちが体操する動画を撮影しSNSで公開した。また、予算をSNSの有料サービスに充てて情報の拡散を図ったグループは、海外からを含むフォロワー数が800件に及んだ。 また、スーダンの衛生状態改善に取り組情報科との連携で進める行動重視の国際協力プロジェクト教員の発想を超え世界を身近なものに図2 「国際協力プロジェクト」の主な流れコロナ禍を機に、国際協力プロジェクトの専用Webサイトを立ち上げた。対象国の情報や外部講師の講義動画、先輩の活動報告などを掲載。

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