キャリアガイダンスVol.438
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教科・科目特別活動1~3年次課外活動総探1年次課題研究3年次その他商業科9学級インターンシップ班別PBL班により地域で活動例:ふるさとパワーアップ班(商業科)、ホットショップ店舗経営班(商業科) 、農大連携班(機械科) ★1総合実践 ★2(事業所模擬社員/商品やサービスの企画提案)商品開発(事業所との商品開発)天神まちかどフェスタ ★4ボランティア活動[部活動]地域デザイン部(イベント参加等)[機械科有志]地域連携サークル(リモート体験入学の企画運営) ★5情報処理科3学級総合実践 ★3(防府市高校生職員/各課に配属され施策の企画提案)機械科6学級実習(1年間の企業研修で商品開発等 ※希望者) 山口県のほぼ中央、瀬戸内海に面した人口約11万人の都市、防府。商業科・情報処理科・機械科の3学科を擁する防府商工高校は、JR防府駅近く、市の中心部に位置している。 生徒の進路は就職と進学が約半々。就職希望者1人に対し10社以上の求人があるほど企業からの信頼が厚く、進学においてはここ数年、20人前後が国公立大学に進学している。生徒の多様な進路希望を応援する同校は、十数年前から社会人基礎力の育成を目標に掲げ、実践を重ねてきた。その方法論は当時から、地域に出て異世代と関わることで自分を知り、未来をデザインする力をつけるというものだ。 多彩な活動のなかで、毎年10月に行う「天神まちかどフェスタ」は生徒の「楽しみな行事」として圧倒的1位に君臨し続けている(新聞部アンケートより)。会場は天神町銀座商店街と駅前商業施設。クラスごとに店舗を出すほか、演劇部によるバナナの叩き売りなどのアトラクションや、機械科の工作物展示もあり内容は盛りだくさん。18回目となるはずだった昨年度はコロナ禍のもと中止になったが、第17回は6千人を超える来客でまちが賑わった。 ユニークなのは運営組織。全校を1つの会社、クラスを事業部に見立て、3年生の事業部長・副部長の中から社長・副社長が選出される。各店舗純利益2万5千円の目標が課され、終了後の総会では決算報告や優秀事業部の表彰、社長による総括がなされる。仕入れ先は自由で、東日本大震災の折には震災復興の助けになるよう、東北から仕入れた例もあるそうだ。 「生徒は一生懸命売ったものの利益が薄いことや、高価でも飛ぶように売れることに直面し、驚いたり納得したり。商業科の観点からすれば教室の学びをリアルに活用する場です。ただそれよりも、こうしたPBLは生徒の達成感や自信につながっていると感じています」と中村英哲先生。 5月から始まるクラスでの活動は、合意形成や役割分担を学ぶ時間。お客さんにありがとう、と言われた喜び、取引交渉がうまくいかなかった失意、赤字を出したときの落胆。頭も心も動かしながら、社会人基礎力に示された「考え抜く力」「チームで働く力」「一歩踏み出す力」を発揮する機会が存分にある半年間だ。 「天神まちかどフェスタが目立ちますが、地域でのPBLは授業の中でもたクラスごとの事業部制で行う天神まちかどフェスタねらいはキャリア形成とシビック・プライドの醸成商業科、情報処理科、機械科の3学科を擁する防府商工高校。学科にかかわらず、教科・科目や特別活動の時間で地域連携による学びの機会が多くあります。イベント企画やコンテンツ開発、学校間連携などを統括するのは校務分掌に置かれた「未来デザイン部」。全校生徒が出店し、毎年数千人を動員する「天神まちかどフェスタ」は防府のまちの風物詩ともなっています。当事者意識をもって自分の未来とまちの未来をデザインする力を育む取材・文/江森真矢子防府商工高校(山口・県立)第28回1928年創立/商業科・情報処理科・機械科/生徒数:716人(男子373人・ 女子343人) /進路状況(2020年度実績)大学56人・短大9人・専修50人・就職121人。キャリア教育優良学校表彰受賞(2019年度)■ 地域と連携した学習活動 ( )内は活動の内容 ★は写真に対応★4 天神まちかどフェスタ★5 地域連携サークル リモート体験入学オープニングセレモニーでは代表取締役社長(生徒)が挨拶しテープカット。各クラスの出店のほか、PTAや定時制生徒、部活動によるコーナーも新型コロナの影響で開催が見送られた体験入学。自分たちでできることをしようと有志生徒が企画、実施した542021 JUL. Vol.438

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