キャリアガイダンスVol.438
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思い描いている授業のあり方目指す生徒像他の教育活動や社会とのつながり● 自分で考えて、自ら表現もしていくことで、自身の選択肢やチャンスを広げていく● 思い込みに縛られず、世の中で起きていることを深く考えて理解しようとする● 世の中のことを知るために、また、自分で考えて表現するために、ICTを使いこなす・ 探究の授業でも小林先生がほかの先生と協働で、外部の社会人とも関わるPBL型の活動を推進中・ 他教科の授業でも、ICTを活用して生徒が情報共有をしたり、自ら思考・表現したりする活動が拡大情報科の授業・ 外部講師との交流や、インターネットで自ら調べることを通して、世の中のことを知る・ 得た知識を踏まえて、身のまわりや社会の課題の解決策を自分で考え、伝わるように発表する・ 情報リテラシーやプログラミングについて学ぶ・ さまざまなテーマについて自らインプットやアウトプット(ネットの情報収集やソフトやアプリの活用)をすることでICTの実践スキルを高める世の中を知り思考・表現するICTのスキルを学ぶフレームワーク(前ページの写真参照)を参考に、気づいたことや感じたことをポンポンと言葉にし、手慣れた感じでWeb上の共有シートにも書き込んでいく。その後の全体共有でも、各グループが何を話し合ったかを簡潔にまとめて発表。活動に寄り添ったコンサルタントの皆さんからも「想像以上でした」との称賛が送られた。 小林先生はそれぞれの授業に合わせて、高校生向けのICTやビジネスのコンテストも紹介している。自分で考えて表現する楽しさを知った生徒のなかには、そうした外部イベントに参加する者も出てくるという。 この先の授業でやりたいことは、「生徒自身が問いを生み出すところから始めて、その問いを基に、話を聞いたり共に考えたりしてみたい企業なども自ら探し、相手に 授業で生徒主体のインプットやアウトプットを重ねていくと、「考える癖がついてきて、表現することにも慣れてくる」と小林先生は感じている。 実際、「プレゼンテーション実習」の3年生の生徒たちは、社会人ゲストのコンサルタントと一緒に少人数グループで話し合ったときも、物おじせずに意見を出していた。協力企業から提示された内容に「疑問に感じるところや批判できるところはないか」などと、これまでに学んだこと(左のコラム参照)も生かして議論。手助けとなる提案までしていく」ことだ。 「私自身、ワークシートや活動の流れを作り込んでしまいがちなのですが、最近、それは良くないなと反省しているのです。あるべき姿は生徒が全部自分で考えて動くことではないか、と。それでは授業時数に収まらず、落としどころが見えなくなるかもしれませんが、『落としどころを必ず作る必要があるのか』という点も含めて、検討していきたいです。とにかく教員である私たちも、立ち止まらずに考えて、まずはやってみる。『生徒が自ら思考や表現をすることができる授業にする』のを大前提として、あとはどう転ぶかわからない取組にも挑戦していきたいです。自分で考えて表現して動いていくことの大切さ、面白さを、そうした私自身の行動でも示していくことができたら、と思っています」生徒はこう変わる思考や表現に慣れてきて外にも飛び出すように■ 生徒INTERVIEW――プレゼンテーション実習でこれから課題解決に取り組むと思うのですが、序盤ではどんなことを学んだのですか?「今までは探究のようなことを『調べる』だけで終わらせていたのですが、『疑問』をもったり『批判』してみたり、それを繰り返すことで考えを深めていけるものなんだということを学びました」「主観と客観のことも学びました。頭の中に浮かべたものを当てるゲームをやったのですが、『それは大きい?』は人によって感じ方が違う主観の話。『都内にある?』は客観的に答えられる話。問いを立てるときやプレゼンのときに、違いを意識していきたいです」――小林先生の授業の特徴といえば。「いい意味で授業っぽくないです(笑)。授業というと『何かを受け取る』イメージがあったけれど、小林先生の授業では、人としゃべったりプレゼンしたりと『私たちが何かをする』のが基本。学校を出たあとも生きてくる主体性のようなものを学べているな、と思います」――学んだことを生かしてやってみたいことはありますか。「校長先生にもの申してみたいです(笑)。うちの学校は素敵なところもいっぱいありますが、ちょっと堅いなと思うところもあるので。一般的に授業中というのは『質問ある人』と言われても声を出しづらい雰囲気があったりしますが、小林先生の授業になると、いろんな子がすごく自由に発言するんですよ。そういう場が増えたらいいな、と思うんです。だから、“事実”を教わることも大切なことですが、反論することや、もしこうだったらという“IF”も話し合うような、新しいことが浮かびそうな時間を増やせないか提案してみたいです。みんなもっとアクティブになると思います」疑問をもつことや批判することから考えを深めていけることに気づいたプレゼンテーション実習を受講している3年生の皆さん612021 JUL. Vol.438

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