キャリアガイダンスVol.438
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校では39%にのぼった。また進学率70%未満の層では「インターンシップが十分に実施できなかった」が6割前後となっている。いずれも全体に比べて5ポイント以上高く、進学校と多様校で進路指導への影響に違いが見られる。フリーコメント1からは、生徒が学校や職場の雰囲気を経験する機会が失われたことや、コロナ対応による変更やオンラインなど初めての問題への対応も迫られ、さまざまな困難や影響があったことがうかがえる。また、家庭の経済状況の悪化による志望校変更や、オープンキャンパスや職場見学が十分にできなかった3年生の進路選択のミスマッチによる退学や離職の懸念、1〜2年生の進路検討の遅れが課題として挙げられており、各学校では、オンラインなども活用した進路指導の工夫が続けられている。 新入試元年にコロナ禍が襲った2020年度。進路指導の現場にどれだけの影響があったかをまずたずねた(図1)。全体では「特にない」は1%に満たず、ほぼすべての高校で何らかの影響が生じていた。「進路ガイダンス・進路相談等の行事の中止・延期」が82%と最も高く、以下「オープンキャンパス指導が十分にできなかった」77%、「保護者向け進路ガイダンス等の中止・延期」51%、「インターンシップが十分に実施できなかった」49%と、対面・集合型、経験型の指導を中心に縮小を余儀なくされたことがわかる。大短進学率別に見ると、進学率が70%以上の層では「外部模試の受験回数が減った」が高く、特に進学率95%以上の学コロナ禍で鍛えた「変化対応力」を、〝これから〞に活かす進路指導への影響大きく減少した進路検討・体験の機会をオンラインも含めた工夫で取り戻す集合型、経験型の指導の遅れを、どう取り戻すかが今後の課題に●例年より総合型選抜入試や就職開始時期が1ヶ月ほど遅れたが三者面談などの時間が十分にとれなかった。新しい入試制度でもあり、学年・進路部ともに生徒・保護者に対して十分な説明をすることが難しかった(青森県/県立/普通科)●オープンキャンパスの中止やオンライン対応が相次ぎ、生徒が大学の雰囲気を肌感覚で感じることができず、第一志望以外のアドバイスが難しかった(千葉県/私立/普通科)●家庭の経済状況の悪化で、地元以外の進学が厳しくなり、志望校の変更が複数存在した(愛知県/県立/普通科)●進学はオープンキャンパス、就職は職場見学等の機会が減り、web上や紙面での検討が多くミスマッチ(離学、離職)が増えないか心配(岡山県/県立/専門学科)●3年生は今までの蓄積があるので、指導が十分行き届かないところもカバーできたが、1・2年については不安が残る。また、コロナ対応によって様々な変更があり対応が難しかった(千葉県/県立/普通科)●オンライン上での進路指導形態の検討・推進を進めたい(神奈川/市立/総合学科)新型コロナウイルス感染症拡大の影響<進路指導>「新型コロナウイルス感染症拡大」の進路指導への影響 (全体/複数回答)図1進路ガイダンス・進路相談等の行事の中止・延期オープンキャンパス指導が十分にできなかった保護者向け進路ガイダンス等の中止・延期インターンシップが十分に実施できなかったオンライン等入試方法の変化で指導が難しかった外部模試の受験回数が減った総合型選抜、学校推薦型選抜の指導が十分にできなかった生徒の家庭の経済状況の相談への対応が難しかった文理選択や科目選択の指導が十分にできなかった志望変更への対応が難しかったその他特にない40~70%未満40%未満24040570~95%未満31395%以上192大短進学率別2021年全体1,15681.976.951.348.539.623.310.410.210.05.72.71.60.769.378.153.626.033.338.5 7.8 6.314.16.84.71.63.681.883.757.235.141.933.5 9.6 7.315.76.74.52.6―80.489.180.852.168.645.456.747.922.112.912.5 9.64.61.72.10.464.435.6 8.910.912.8 4.24.91.00.5―801006040200(%)n数※「2021年 全体」の降順ソート  ※「2021年 全体」より5ポイント以上高い数値を■色で表示89.183.757.256.764.438.533.547.915.72021年 全体95%以上70~95%未満40~70%未満40%未満大学入学共通テストの日程選択が難しかった構成・文/平林夏生82021 JUL. Vol.438

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