キャリアガイダンスVol.439
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高大連携の学びのなかで見つけたこと変化したこと高校と大学が協働した学びに、高校生のときに触れられるという経験は、本人に何をもたらすのでしょうか。まさに体感中の高校生と、その体験を経た大学生に、学びのなかでつかんだものをお聞きしました。松市立高校では、私が入学した年度に、大学の先生のさまざまな講座を学校で受けられる「高大連携クラス」が新設されました。高校でそんな体験はなかなかできないと思い、私はこのクラスを希望し、今までに10以上の講座を受けてきました。 印象的だったのは国際教養講座です。ある回では、生徒同士で「新型コロナウイルスのプラス面とマイナス面」を話し合いました。そのあとで講師の方が、コロナで社会のいろいろな不平等が顕在化したこと、でも問題に気づいたから解決に向けて協力し出すプラスもあった、と話してくれたんです。普段はそこまで物事を追究しないので、大学って深く学ぶんだなあと思いましたし、自分も社会のことを考えるようになりました。 別の回では、南極観測に行った講師の方が、その歴史や地理、観測でわかった二酸化炭素濃度増加の問題に触れたあと、解決策となる森林資源の活用例を紹介してくれました。講師の先生自身が、企業と組んで、間伐材を燃料に発電する研究をしていたんですよ。大学では社会を変えるような研究をするんだ、と感じました。 講座を受けるなかで、勉強に対する意識も変わりました。以前は「教科書の内容を嫌でも覚えるもの」と考えていましたが、今は「社会でこんなことが起きているんだ、とか、自分はこうしてみたい、とか、そういうのを勉強することで発見できるのかな」と。心理学に興味があったので自分でも調べるようになり、行きたい大学も見つけました。その先の夢は心理カウンセラー。人の気持ちに寄り添って支えられるようになりたいんです。そうした目標が、勉強を「がんばろう!」と思う力にもなっています。小高校で何講座も大学の講義を受けて自分たちで社会のことも考えて。私のなかで勉強する意味が変わったんです小松市立高校(石川・市立) 2年生長谷川なつ美さん高大連携講座の一場面。南極観測や環境対策など社会に関わる研究実践にふれた。2020年度より普通科の1クラスに「高大連携クラス」を新設。公立小松大学をはじめとする石川県内外の大学から講師を招き、生徒が大学の出張講義を継続的に受けられる環境を整えた。ねらいは思考力や学習意欲の向上。複数回の国際教養講座のほか、国語、数学、理科、家庭科、保健体育などの講義が行われてきた。同校のホームページでも講義内容を発信中。小松市立高校の高大連携●講座で物事のプラス面とマイナス面を考えたりするなかで、教科書から学ぶだけでない、自分で追究する面白さを体験した。●大学の「社会を変える研究」に惹かれた。●自分で興味のあることを調べるようになり、行きたい大学と学部が見つかった。●友達と将来のことを話すようになり、心理学、看護、経済など、目指す分野は違うけれど目標をもって勉強しているのは同じ仲間と、一緒にがんばるようになった。長谷川さんにとっての高大連携自分が興味をもてることを発見でき、この先何を学びたいかを考える機会になります。目標ができて勉強をがんばる子も多く、その環境にもやる気をもらえます!高大連携を後輩に伝えるなら取材・文/松井大助撮影/山本 斉(10p)、石中 仁(11p)、松本崇志(12p)、竹内弘真(13p)高校生高校生・大学生

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