校1、2年生のときに、千葉大学の「基礎力養成講座」に参加しました。夏休みから11月にかけて、高校生が5〜6回の科学講座を大学で受けられるのです。理科の先生が教えてくれて、私自身、科学が好きだったので、やってみたいと思いました。 1年生のときに受講したのは「健康・医療コース」。注射器を腕モデルに打つことを体験したり、DNAの解析でPCRの機械を使ったりと、大学の授業では「こんなことまでできるんだ」とワクワクしました。 2年生のときに受講したのは「総合科学コース」。思い出深いのは「色の変化で酸化還元を見る」という講座です。複数の試薬を測って混ぜたり、電流を流したりして、色の変化から酸化や還元を確認するのですが、簡単ではない実験を一人で全部できて、達成感がありました。しかも、自分の目で現象を確かめた後、高校で酸化還元を学んだら、点と点がつながって線になるように理屈がわかり、大げさに聞こえるかもしれませんが、世界がわっと拓けたんですよ。 おかげで「知識を身につけてから実践するだけでなく、実践してから知識を身につけてもいいんだ」と思うようになりました。教科書をただ暗記するのではなく、実際に起きた現象とどうつながるかを考えるんです。現象の理屈を、身につけた知識で理解できると、物事がより鮮やかに見えてきて、勉強するのが楽しくなりました。 今は薬学部で勉強し、薬の研究者を目指しています。理科の力で、人を助けられるようになりたいのです。塾講師のアルバイトもしています。実際に起こる現象と、習ったことがつながる面白さを、私も子どもたちに伝えられたらいいな、と思っています。高大学のノート。身につけた知識を、調剤などの実習に生かしていきたいという。青色顔料であるプルシアンブルーを生成し、酸化や還元による色の変化を確認。「色の変化で酸化還元を見る」講座。全員が一人で実験を行うことに挑戦した。「次世代才能支援室」が、理系人材養成の高校生向けプログラム(3コースの基礎力養成講座や課題研究支援等)を開発・運営。千葉県や東京都の高校と連携し、科学に関心がある生徒の発掘と育成を進めている。また、「高大連携支援室」が、全国の高校生にとっての研究発表の場となる高校生理科研究発表会を開催。今後の高大連携についての相談窓口も務める。千葉大学の高大連携●高校にない器具や機械を使って学ぶことができ、大学の研究の面白さを感じた。●実験で起こる現象を体感。それらの現象を理解しようと知識を学ぶようになった。●講座で大学に通い、サポート役の大学生と話もするなかで、「こんな勉強や生活をしたい」という志望動機が固まった。●大学生の今、コロナ禍で実習が制限され、講義が多い状況だが、その知識が今後に生きると思えるから真剣に学べている。齋藤さんにとっての高大連携参加するか「悩んでいる」としたら、不安以上に「やりたい」気持ちが既に生まれているからだと思うんです。飛び込めば、すごく豊かな経験ができると思います。高大連携を後輩に伝えるなら高校生のときに、大学で挑んだ科学の実験。目で見た現象と、学んだ知識がつながったとき世界がわっと拓けて、勉強が楽しくなった千葉大学(千葉・国立)1年生齋藤美咲さん 千葉市立千葉高校出身大学生122021 OCT. Vol.439
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