キャリアガイダンスVol.439
18/66

図1:大学教育改革と高校教育改革の接続関係アクティブ・ラーニング(教育の質転換)大学探究、主体的・対話的で深い学び高校中学小学校社会連携教育Global & Local社会に開かれた教育課程学修成果の可視化(教学マネジメント)何ができるようになったのか(カリキュラム・マネジメント)会の間で学びが途切れていることが課題として浮かび上がっていた。「高大社を通した若者のシームレスな成長を叶えるために、真ん中にある大学の役割のひとつは、高校の学びを支援することだと考えています。そこに地域の企業や行政も巻き込み、地域の大人がよってたかって一人ひとりの子どもを育てていく文化の醸成を目指しています」(大森学長) 大学は、高校の教育改革に先んじて改革を迫られてきた。大学改革の柱である「アクティブ・ラーニング(教育の質転換)」「社会連携教育」「学修成果の可視化(教学マネジメント)」は、高校改革の柱の「探究、主体的・対話的で深い学び」「社会に開かれた教育課程」「何ができるようになったのか(カリキュラム・マネジメント)」、とそれぞれ接続している(図1)。「先行して改革を進めてきた大学のノウハウを高校と共有することで、地域全体の教育力を高めていきたいと考え 共愛学園前橋国際大学は、学部は1学部のみ、学生数は約1200人の小規模の大学ながら、昨今の厳しい募集環境の中で順調に志願者を伸ばしている。 特に県内の高校からの志願者が増えているのは、地方が世界とダイレクトにつながる時代において、大森昭生学長が「飛び立たないグローバル人材」と呼ぶ、グローバルな素養を備えながらローカルで活躍する人材を育てるという明確な目標のもと、さまざまな取組を行っているからだ。同学の人材育成には地元からの期待も高く、文科省指定事業のほか、「地域人材育成協議会」や、「めぶく。プラットフォーム前橋(地域人材の育成・定着にかかる産学官連携基盤推進協議会)」などで、産官学を連携させた地学一体の協働学修を多数実施してきた。 地域のニーズは、「地方創生」「地域の若者育成」であるが、一人ひとりの生徒・学生の視点では、高校、大学、社ています」(大森学長) こうした理念のもと、高大接続コーディネーターという専門職を置き、高校のニーズに合わせて、多様な連携活動を実施している(図2)。「課題研究の授業を本学が担当し、単位認定も行っている太田市立太田高地域で学び、活躍する人を高大社・地学一体で育てる大学が高校を支援することで地域全体の教育力の向上へ・前橋市立前橋高校(群馬・市立)・共愛学園前橋国際大学(群馬・私立)取材・文/長島佳子図2:共愛学園前橋国際大学の高大連携事業の主な例一人ひとりの生徒を、地域の高大社が一体となって育てる文化を醸成地学一体でつなぐ182021 OCT. Vol.439連携内容連携高校共同授業(授業を単位化)高校の授業(課題研究)を高校と大学が共同で実施。受講する生徒は大学の特別科目等履修生となり大学の科目「キャリア演習基礎」の単位が認定される。大学に進学した場合、同学はもちろん大学によっては大学の卒業単位に認定される。太田市立太田高校探究支援高校が設計した探究授業のプログラムの中で、フィールドワークなど外部の手が必要な活動について、教員と学生がサポートに入る。前橋市立前橋高校課題研究のテーマの設定、研究計画の立て方、進め方、発表方法などについて、学生が高校生にアドバイスする。高崎女子高校(県立)、高崎北高校(県立)探究テーマの設定に役立つ講義、発表会やポスターセッションの講評の講師として教員を派遣。前橋高校(県立)、桐生高校(県立)、中央中等教育学校(県立)、富岡高校(県立)、太田女子高校(県立)デリバリークラス・教職員研修さまざまなテーマについて教員が行う出張講義。探究等に関する教職員研修の講師も派遣。佐野東高校(栃木・県立)、伊勢崎清明高校(県立)など今年度で6校以上予定

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る