進路課長大沼友紀先生 伝統的にキャリア教育に力を入れてきた北村山高校。その軸となり、進路指導のツールとしても活用されているのが、学校独自の教材「BeL(ベル)ノート」だ。BeLは「Beautiful Life」を略した造語で、そこには「より豊かな人生を送るための学びを」という思いが込められている。同校に赴任して6年目、今年度より進路課長を務める大沼友紀先生は、「BeLノートは、2007年に総合学科に改編されたのを機に始まった取組。以来、本校に脈々と受け継がれてきたもので、これがあるからブレない進路指導が可能になっている」と言う。BeLノートは、各年次用に1冊ずつ、3年間を通して3冊ある。1年次には、学校設定科目「産業社会と人間」の授業において使用する。「1年次には、進路やキャリアに関わる基本的な部分を探っていきます。自分の生い立ちからこれまでを振り返り、この先どういう進路を歩みたいか、将来どうなりたいか、そのためには今何をやるべきか…まで掘り下げていきます。加えて、世の中にはどういう職業があるのか、働くとはどういうことか、どんな働き方があるのか…といったことも学んでいきます。頭の中で考えたこと、社会人の方の講話などを聞いて感じたことをBeLノートにアウトプットすることで、より能動的に自己分析や職業理解に取り組めるようになることを目指しています」1年次の終わりには、集大成として「ライフプラン発表会」を実施。パワーポイントでまとめた資料を用いて、生徒一人ひとりが自分のライフプランを発表する。さらに、クラス内で選ばれた数名は、全校生徒の前でも発表を行う。大沼先生は、こうした1年次の指導がとても重要だと考える。その理由はこうだ。「生徒には、自分に対する思い込みを払拭して、自信をもってほしいんです。自分のいいところを挙げてごらんと言うと、 大石田高校と尾花沢高校が統合され、1987年に山形県内で初めての統合高校として開校した北村山高校。スポーツが盛んで、特にスキー部はインターハイなどの全国大会で、度々優秀な成績を収めてきた。2007年に総合学科に改編され、現在は、大学・短大や専門学校への進学を希望する生徒が主に学ぶ「文理総合系列」、スポーツに力を入れる生徒が学ぶ「体育総合系列」、保育や被服、調理に関心の高い生徒が学ぶ「生活総合系列」の3つの系列からなる。少子化の影響を受け、近年は生徒数が減少。募集時の定員は120人だが、定員割れの状況が続いている。 年度により波があるが、例年、年次※の半数ほどが就職を希望。進学希望者、就職希望者とも地元志向が強い。大学・短大、専門学校への進学から、民間企業就職、公務員就職まで、生徒の多岐にわたる進路をきめ細やかな指導で支えてきた。2018年度には、「キャリア教育優良学校」として文部科学大臣賞を受賞。地元企業・団体や市・町など外部と連携しながら活発なボランティア活動や課題解決型学習を行い、系統的・体型的なキャリア教育に取り組んでいることが評価された。一方、ここ数年は、生徒数減に伴い教員の数が減少。進路指導においては、限られた人員でいかに質の高い指導を継続するかが課題となっている。北村山高校(山形・県立)取材・文/笹原風花大学進学3人、短大進学4人、専門学校進学16人、就職44人その他(受験準備など)3人2020年度はコロナ禍のなかの就職活動だったが、先生方の予想に反し、進学への進路変更者は少なく、就職者が多い結果となった。なお、就職者のうち85%弱が県内の事業所に就職している。1987年開校/総合学科(文理総合系列・体育総合系列・生活総合系列)/生徒数167人(男子53人・女子114人)「自分」と「仕事」への理解を深める1年次※同校は単位制高校のため、「学年」ではなく「年次」と表記する。412021 OCT. Vol.439
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