1983年に開校。緑豊かな東京多摩地域に立地し、東京ドーム3.5個分の広大なキャンパスを有する。1989年に「東海大学菅生高校」に校名変更。卒業生の約8割が大学・短大に進学、約3割は東海大学に進学(2021年春)。部活動も盛んで、2021年度は10クラブ15競技が関東大会に出場するなど健闘している。東海大学菅生高校(東京・私立)まとめ/石井栄子 撮影/高山尚樹 東海大学菅生高校は、0歳児の幼児から小中高校、そして東海大学へとつながる一貫教育を行う総合学園の一角を担っています。高い学力をつけさせることは私学として当然の使命ですが、単に受験のための勉強のみではなく、「一人ひとりが調和のとれた考え方ができる賢さを身につけ、よりよい文明社会を築く」ことを目標とし、真の文武両道の教育を目指しています。つまり、学業によって論理的思考力を培い、学校行事や部活動など実践的な活動によって経験の中から思想を培う。論理と実践に同時に取り組むことで、補完し合い相乗効果を高めることができると考えています。 東海大学関連高校独自の取組として、1997年から「高校現代文明論」という授業を行っています。この授業では世の中の諸問題を取り上げ、仲間とともに問題発見・問題解決に取り組んでいます。今でいう探究学習を20年以上前から行ってきたのです。この活動の中で、さまざまなものの見方、考え方を培いながら、世の中のすべての事象は単なる偶然の積み重ねではなく、関連性や必然性、そして法則があることを学んでいきます。 あるとき、「高校現代文明論」の授業の中で私が国際情勢について批判的に語ったことがあります。それに対し、1年生の生徒が、昼休みに反論しにきたことがありました。自分なりの思想がちゃんと育っていると感じ嬉しかったですね。 日本では現在、18歳から主権者となります。つまり学校は、生徒が高校を卒業するまでに、国の将来や地域の将来を考えられる人間に育てていなければなりません。高校1年2年はその下地を作る大事な時期であり、「高校現代文明論」は、その核となる授業だと考えています。 私は本校に着任した37年前から、全国に先駆けてコンピュータを導入し積極的にICT活用を進めてきました。2016年にオンライン英会話、2017年にE-learning、2018年にChromebookとGoogle Workspace forEducationを導入。2021年4月には国内ではまだ十数校しか認定されていない「Google for Education事例校」に認定されました。そのほか、大手塾の通信添削講座やAI教材、自学支援システム等を導入し基礎学力の向上を目指しています。また、本校独自の「勉強簿」をつけることで、Plan・Do・Seeのサイクルで自学マネジメントができる力を育てています。 クラス編成を成績順で細かく分けることをやめシンプル化したことで、多様な生徒の学び合いが生まれ、クラスが活性化してきました。学力も、むしろ向上しています。 私は常々「名門校を目指す」「エリートたれ」と言っています。言い続けることで、生徒に矜持が芽生え、保護者もわが子を本校に通わせていることを誇りに思える。教員も本校の教員であることを誇りに思える。そのような学校にしていきたいと考えています。みねぎし・ひでひと/1959年生まれ。法政大学経営学部経営学科卒。大学時代にアルバイトをしていた学習塾の塾長から「君のような人に教員になってほしい」と言われ教職を目指す。1984年に情報担当として東海大学菅生高校に採用され、校内のICT環境を整備するほか、プログラミングなど情報の授業を行う。1997年に「高校現代文明論」の教科書編纂に参画。2002年から2006年まで東海大学現代文明論研究センター非常勤研究員を務める。2017年より校長に就任。教員一人ひとりの特性や個性を組み合わせ、力を発揮し合える組織を目指す。自分で考え、社会に貢献できる主権者を育てることが学校の使命名門校を目指す、エリートたれと言い続けることで自尊心を育てる452021 OCT. Vol.439
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