1878年に組合立中学校として開校。1948年の学制改革により新制高校となり、現在の姫路西高校が発足した。普通科と国際理学科からなる。2017年に開設した国際理学科は、国際的に通用する英語力を備えた、理数の高度な能力を有する将来のグローバルリーダーの育成を目指す。生徒数は男子406名、女子429名の合計835名。東大5名、京大17名、阪大30名など国公立大学合格者は247名(令和3年3月卒業生)。姫路西高校(兵庫・県立)まとめ/石井栄子 撮影/小林一仁 本校は140余年の歴史と伝統のある学校です。質実剛健・自主創造・友愛協調の校訓は長い歴史のなかで古びることなく脈々と受け継がれてきました。たくましい心身の錬成、ゆたかな個性の伸長、うるおいのある人間性の涵養を目指す教育方針の下、清瀬一郎、和辻哲郎、高田賢三、桂米朝(3代目)など、政財界や文化芸能の世界で活躍する突出した著名人を輩出してきた学校でもあります。その誇りは卒業生・在校生のDNAにしっかりと刻み込まれていることでしょう。私の母校でもあり、本年度より校長に就任し、再び母校に帰ってこられたことを大変嬉しく思います。 教育は「不易と流行」のバランスが重要です。守るべき伝統は大切にしながら、世の中の変化を先取りし、改革し続けていかなければなりません。私は、20年近く教育委員会に在籍し、さまざまな改革や先進的な取組に関わり、どのような工夫をすれば学校がより良くなるのかをつぶさに見てきたことが強みだと思っています。よき伝統はしっかり生かしながら、新しい教育を取り入れ、生徒たちが未来をたくましく生き抜くための豊かな人間性と幅広い学力を兼ね備え、国際社会や地域社会に貢献できる人間を育成していきたいと考えています。 本校は、2014年度にスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校となり、昨年度からはスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校となりました。SGHでは、グローバル人材として必要な「探究力」「コミュニケーション能力」、英語によるプレゼンやディベートができる人材の育成を目指しました。SSHでは、それに加え、データ分析・解析に基づいた、課題発見力・解決力を育てることを目指し、全生徒がデータサイエンスを学びます。 「データ活用実践」「情報開発実践」「自然科学実践」の3つを柱とし、「データ活用実践」では、ビッグデータを解析し現象を読み解く探究活動を、「情報開発実践」では、プログラミング技術を活用したアプリ開発等を実践する探究活動を、「自然科学実践」では、自然現象に関する課題を発見し、実験等を通して仮説検証をする探究活動を行います。これらの活動によって、「高度な『知』を有するグローバルサイエンティストの育成」を目指します。 SSHには、兵庫県立大学、滋賀大学など近隣の大学や、グローリー、西松屋チェーン、大和工業といった地元企業とも提携して取り組みます。企業の売上データなど実際のデータを活用した学びは、生徒にとって貴重な経験となるはずです。 大学進学も大事ですが、大切なことは、自分で「問いを立てる力」です。大きすぎず、小さすぎず、既出でもない、適切な問いを立てるのは意外に難しいものです。その手助けをするのは教師の役割。道筋さえつけば自走できる。それが本校の生徒の強みだと思います。きよせ・よしゆき/1963年生まれ。小学校時代に出前授業に来ていた姫路西高校の先生の、理科観察教室の楽しさが忘れられず姫路西高校に進学。その後教員に。暴走族の教え子をなんとか卒業させた後、夜中にバイクでその生徒が訪れ、日本海で買ってきたカニをお土産にもらったのは、教師冥利に尽きる思い出。2001年から18年まで教育委員会に勤務し、さまざまな改革に携わった。信条は「Yes, I can!」。やると決めたら必ずやり遂げることで信頼を得てきた。今年4月より現職。伝統の良さは守りながら、時代に合わせて改革し続けるこれからの世の中での必須スキルデータサイエンスに全員が取り組む512021 OCT. Vol.439
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