キャリアガイダンスVol.439
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リクルートサービスを活用した実践事例【進路】 甲子園出場春夏通算27回の野球強豪校として知られる今治西高校は、「自己実現100%、国公立大学合格率70%以上」というマニフェストを掲げる県下有数の進学校。 「地方の高校なので、本人・保護者共に国公立志望が非常に多く、入学時は90%以上。それらを考慮しながら、生徒が学びたいことを見つけられるよう指導していくのが、教員の役割です。夢を叶えるための浪人は問題ありませんが、ミスマッチがあって大学を退学するとなると、生徒の人生に関わってくる。進路指導の最大の課題は、このミスマッチを防ぐことです。学力評価だけでなく人物評価が加わった新入試制度になり、低学年から基礎力・志望力・自走力を身につけ、職業観を育むことがより重要になってきたと感じています」と進路課の稲葉靖司先生。 「ミスマッチを防ぐ第一歩は、文理選択です。難関大を目指すなら当然『基礎力』が必要ですが、成績だけで決めるのではなく、1年生から主体性をもって職業に結びつく学問研究をし、『志望力』を高めていくことが不可欠です」と稲葉先生。 同校では、1年生の夏休みに大学の講義動画を視聴してレポート提出をさせ、2学期からはスタディサプリの『仕事・学問BOOK』と、『未来事典CAREER』を活用して学問研究と職業観の育成をしながら、文理選択につなげていくという。 「2年生では自分の適性を知って学校・学部研究をし、オープンキャンパスを体験して、志望を決める。そして、自分の課題をやり遂げる『自走力』を磨き、合格まで走り切る。これが理想です。今年度から生徒一人にPC1台が配布されたこともあり、2年生には『スタディサプリ進路』デジタル版を導入しました。以前は、紙媒体で大学を探して資料請求をしていましたが、デジタル版はその場で情報検索ができるので使いやすい。生徒の視野を広げ、『志望力』向上につながる、より効果的な活用法を考えていきたいと思っています」 同校のICT活用推進役は、情報教育課の大久保孝一先生と玉井洋介先生だ。 「今年度は、『コロナ禍でも進路選択のミスマッチを防ぐために情報を届けたい』という進路課の要望を受け、6月の保護者進路説明会を会場とオンラインの両方で実施しました。参加保護者の約74%がオンラインを利用され、非常に好評でした。ICTなしには授業も進路学習も進まないというのが実感です」と大久保先生。 「便利なツールが増えて進路学習が楽しくなれば一番いいですね。既に、大学の講座やイベントにオンラインで参加している生徒もいます。地方の高校にとって、距離を無視できることは、とてもありがたいこと。進路学習も大きく変わっていくと思います」と玉井先生。新たな入試制度のなか、進路選択のミスマッチを防ぎ、自己実現を応援する課題1年の学問研究・文理選択、2年の大学・学部研究を徹底し、「志望力」を高める活用創立1901年/普通科(男女)/生徒数886人(男子434人、女子452人)進路状況(2021年3月実績)大学264人、短大2人、専門学校等7人、就職1人、その他33人取材・文/丸山佳子今治西高校(愛媛・県立)1年次から基礎力・志望力・自走力を鍛えて選択のミスマッチを防ぎ、新入試体制に対応 オンライン進路学習  適性診断  職業観育成  学校・学部研究【活用キーワード】右・情報教育課大久保孝一先生(英語)中・進路課稲葉靖司先生(地歴公民)左・情報教育課玉井洋介先生(生物)スタディサプリ進路活用法●1年生1学期進路説明会(保護者対象)●1年生2学期学問研究と職業観の育成『スタディサプリ for SCHOOL(進学事典デジタル版)』は、これまでの「スタディサプリ進路」のラインナップ(適性診断、学校&学部研究、分野選び、オープンキャンパス、志望理由・小論文)を統合したデジタル教材。●2年生1学期適性診断と学校・学部調べ、資料請求2020年はコロナ禍のために1年生保護者の進路説明会が中止に。今年度は感染防止を考えて会場とオンラインの両方で実施。「進路説明会も、進路選択のミスマッチを防ぐ大切な要素なので、例年、リクルートに講師を依頼し、大学の合否だけにとらわれず、新入試制度や全国の傾向など客観的な情報を保護者に届けるようにしています」と稲葉先生。説明会では『高校生の保護者のためのCareer Guidance』(上)を配布。会場66名オンライン188名計254名が参加◀ 『仕事・学問BOOK』『未来事典CAREER』▶文理選択●2年生夏休みオープンキャンパス●2年生3学期志望校決定632021 OCT. Vol.439

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