キャリアガイダンスVol.439_別冊
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臨床実習に「感染症実践コース」を導入(医学科)取材・文/伊藤敬太郎 撮影/坂本宏志(林 由起子学長)、竹田宗司(阿部幸恵学科長)コロナ禍の影響もあり、医師、看護師などの医療人が社会において果たす役割が今まで以上にクローズアップされている。東京医科大学は、高度な実践力、患者に寄り添う人間力の養成を通して人材育成の面から医療界に貢献し続けてきた。その教育の特色はどこにあるのだろうか。学長と看護学科長、さらに学生2人に話を聞いた。実現するための柱が、自ら学び、考え、自らの責任で決断し、行動することを意味する「自主自学」と、法令や倫理規範を遵守し、優しさや思いやりをもって社会に貢献することを意味する「正義・友愛・奉仕」の2つの精神だ。 こうしたコンセプトに基づいて同大学では具体的にどのような教育が行われているのだろうか。 まず、同大学の大きな特徴と言えるのが、高い臨床能力・実践力の養成を実現するカリキュラム・教育環境だ。 医学科では、1年次から臨床実習がスタート。1、2年次の早期臨床体験実習で現場における各プロフェッショナルの仕事や役割を体系的に理解し、3年次以降のより実践的な実習へとつなげていく。また、実習先となる3つの附属病院にはそれぞれに特色がある。 「西新宿の東京医科大学病院では最新医療に触れることができる一方、茨城 1916年(大正5年)、前身である東京医学講習所が設立されて以来、2021年に創立105周年を迎えた東京医科大学。その歴史と伝統に裏打ちされた医学教育により、数多くの医療人を輩出し、日本の医療に長く貢献してきた。 では、東京医科大学では、どのような医療人の養成を目指しているのだろうか。林 由起子学長は次のように語る。 「本学のミッションは“患者とともに歩む医療人を育てる”です。医療の世界ではテクノロジーの進化によっていろいろなことが変わっていきます。そんななかで医療人にとってより重要になるのは高い倫理観であり、人と人とのつながりを大切にする人間性です。テクノロジーへの科学的興味・関心は必要なことですが、それらはすべて患者さんのためであることを忘れてはいけません」 そんな東京医科大学の教育コンセプトを示したのが図1。前述のミッションを医療センターでは地域医療について実践的に学べます。また、八王子医療センターは救急医療や移植医療の拠点。学生は本院での実習のほか希望に応じて茨城や八王子で多様な医療現場を経験することができます」(林学長) 加えて、臨床実習への準備であるシミュレーション教育が充実していることもポイントのひとつ。東京医科大学病院には学生も利用できるシミュレーター(人のバイタルサインを再現する高性能マネキンなど)が揃うシミュレーションセンターがあり、看護学科には学内にシミュレータが整備されている。看護学シミュレーション教育の第一人者である阿部幸恵看護学科長はこう語る。 「大切なのは、事前に十分な知識を学林 由起子学長5Vol.439 別冊特集

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