キャリアガイダンスVol.439_別冊
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いくらカリキュラムや設備が充実していても、学生に主体的に学ぶ力がなければ、これからの医療を支える人材は育たない。東京医科大学では学生はどのようなマインドでどのように学んでいるのか。「自主自学」の精神を体現する学生2人に話を聞いた。 2年次から人体構造学分野の研究室に所属。以来、研究活動に取り組み、令和3年の3月、第126回日本解剖学会総会・全国学術集会で自ら研究した「横行結腸間膜内における血管走行経路に関する肉眼解剖学的研究」を発表。令和2年度肉眼解剖学トラベルアワード(献体協会賞)を受賞した。 「もともと消化器には興味がありましたが、2年前期での解剖実習では広範囲を学ぶため、ある一部分を詳細に学ぶということには時間の都合上、難しいものがありました。そこで、より詳細に実習では触れなかった範囲を学びたいと思い、研究室に飛び込みました」 研究室で学ぶなかで、大腸(結腸)の一部分の横行結腸という臓器に分布する血管の走行経路、つまり横行結腸と血管の位置関係がまだ明らかにされていないことを知り、これを研究テーマにすることを決め、3年次から本格的な研究にとりかかった。 「横行結腸は形態における個人差が大きいことに加え、立体的に複雑な構造なので画像検査では動脈の走行経路を推測することが難しく、医師の経験的な知識によって対応せざるを得ませんでした。しかし、今回の研究で献体を直接観察し、数十もの献体のデータを集めたことによって、初めて動脈の走行経路の可視化とパターン化を可能にすることができたのです」 研究に大切なのは与えられた知識を鵜呑みにしないこと。また、やりたいことを自由にやれる東京医科大学の環境、研究室の先生や先輩方のサポートにも感謝しているという。>> 4年生血管の走行経路をわかりやすく分類した研究発表資料 看護学科には先輩が後輩を指導するチューター制度が設けられている。2年次、3年次の臨地実習前に基本的な看護技術などを1学年上の先輩が指導する講習は、指導を受ける後輩だけでなく、教える側の先輩にとっても貴重な成長の機会。保健師コースで学ぶこの学生もチューターを務めた一人だ。 「基礎的な看護技術については1年生のときに授業で学びますが、時間が経つと忘れてしまうことも多く、事前講習はとても大切です。私自身、後輩としてチューターの先輩から指導を受けて大変力になったので、自分自身もやってみたいと思っていました。もちろん授業で先生から学ぶことが基本にあるのですが、現場に出るまでのちょっとした不安などは先輩のほうが相談しやすい面がありますから。私は3年次には、主に看護記録の付け方や現場での時間の使い方に関する指導や相談を担当。臨地実習ではやることがたくさんあるので、効率的に行動するコツなどを具体的に伝えました」 チューターとして後輩を指導するなかで、自分自身、コミュニケーションについても学ぶことが多かったという。その力は将来の仕事にも生きてくるものだ。 「卒業後は保健師として地域の予防医療に取り組みたいと考えていますが、既に病気の方とまだ病気でない方とでは伝え方も変わってきます。それぞれ相手の立場に立って適切なコミュニケーションができるよう、後輩への指導、実習などを通して、これからも人間力やコミュニケーション力を幅広く磨いていきたいです」>> 4年生2020年度オンラインチューター指導時の様子7Vol.439 別冊特集

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