キャリアガイダンスVol.440
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また失敗した経験も含めて成長の糧にするために、先生方ができることもたくさんあります。例えば事前には、外に踏み出す幅の調節、その挑戦を自分ごと化できるような声がけ、何を学ぶかなどの目的意識の醸成。越境中は、体験がより良いものとなるフォローに加え、さらなる成長を後押しする負荷の設定。そして越境後には、経験から得たものの言語化や自分のなかへの落とし込み、得た力を発揮する場の設定など。事例では、各校のそういった工夫も聞いておりますので、ぜひ参考にしてください。 学校というある意味安全な場で、先生のフォローも受けながら思い切り越境し、その経験によって考え方や行動が変わったり、好奇心が刺激され、もっと知りたい・やってみたいという意欲が生まれ、成長モードに入っていく…。一人でも多くの生徒にそのスイッチを入れたいと願っている、たくさんの先生方のヒントになれば幸いです。高校生に経験してほしい5つの越境れるのかもしれない」と気づく生徒たち。 その後は週1回のペースで、記事と問いかけを生徒たちに配信しました。記事では、身近な高校生から大人まで、さまざまな人が「ちょっとやってみた」を繰り返して、どんなふうに人生が変わったかを紹介します。記事を読んだうえで、生徒たちは自身の1週間の振り返りと、翌週の目標設定を行います。このサイクルを繰り返しながら、日々の生活に「ちょっとやってみた」程度の自主的な行動を織り交ぜてもらうよう呼びかけました。 1カ月間継続した生徒たちからは想像を超えるほどの良好な感想が。全体で「振り返る力」の向上が見られたほか、約9割が、「取組が自分に良い影響を与えた」と回答しました。「『ちょっとやってみる』くらいなら、と今までできなかったことに挑戦できた」「ちょっと行動した結果、自分と周りとの関わり方が変化していくのが楽しい」「自分の固定概念が消えて、他のことにもチャレンジできそうだと思えた」…。 こうした高校生の感想からは、「挑戦」「新たな行動」といった言葉に対して、高めのハードルを想定してしまいがちな傾向もうかがえます。小さな行動から始めること、また、振り返りの問いかけを通じて自身の行動を認知することによって、次の行動が促され、好循環を生んだともとれるでしょう。日常のなかから始める「越境」。そのささやかな1歩が、生徒の変化につながっていくのです。知の境界を越えるP.12教科の境界を越えるP.15ルールの境界を越えるP.20同質性の境界を越えるP.25場所の境界を越えるP.28越境がもたらす「第三の知」と、新たな関係性の構築P.34いつもより早い電車に乗ってみたM.N.さん。「『余裕をもって学校に着こう』など、目標をもつことでうまくいった。一度行動してみたら、次は何をしようと考えるようになりました」。仲良くなりたいクラスメイトに自分から話しかけてみたR.W.さん。「失敗がこわかったけど、ちょっとだけ新しいことをすればいい、と思うと一歩踏み出せたし、どんどん挑戦できた」。「『ちょっとやる』くらいでいい、という考えがこれまでなかった。『成功しなきゃ』と思うと挑戦できなかった」「『また来週、新しいことに挑戦してみたら、違う発見があるかな』と思うと、どんなことをしよう、と自然と考えていた」小さな行動が、次の行動のハードル下げに112021 DEC. Vol.440自分の枠を「越える」学び ~非連続な成長を引き出す5つの越境~高校生に経験してほしい「越境」とは

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