キャリアガイダンスVol.440
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432021 DEC. Vol.440生徒: 進路は、普通でいい。この前、お母さんが言っていたけど、公務員って安定してるし、残業もなくていいって。それならいいかな?先生: あなたの思う「普通」を一緒に考えてみようか。そのために、どういうことに興味をもってきたのか、特に憧れていたヒーローやヒロインを聞かせてもらえる?生徒: (憧れていた理由として)すごい特別な人とかじゃないのに、ちょっと面白いとか、人の役に立ってるとか、いいなって思っていた。身近な人を大切にしている感じが好き。先生: そういう関わりを、あなたも大事にしていそうだけど。生徒:そうなれればいいなと思っている。 先生: それだけの力、あなたにはあると思うな。生徒: 医者とか薬剤師とか、医療系の仕事っていいなと思うんだけど、勉強が大変だし、そこまでがんばれるか自信がなくなってきた。先生: そうか。自分に自信がなくなってきたのか。ちなみに、医療系のドラマとか、よく見ているとか憧れているとかある?その主役の人をどう思う?(ドラマの話)生徒: お話だけど、意志が強くて、どんな困難も乗り越えちゃうのがスゴイ。先生: あなた自身が自分のモットーにしている言葉ってある?生徒: う~ん。「やらないより、やった後悔」かな。先生: なるほど。何事にも、果敢に挑戦する姿に憧れがあるようだね。生徒: まあ、そこまでやりたいかってよくわかんないし、とりあえず就職しようかなって。先生: そうか。この時期だからかなり求人は限られてくるけど、少しでも納得できるところを選びたいな。前やった適性検査の結果、覚えている? (強み・こだわりなどを確認していく) それを活かすとすると、こんな会社とか、こういう仕事とか。生徒: へえ、これってどんな仕事?先生: (一通り説明を行い)、でね、それとは別に、急に進路変更することになったから、一度ゆっくり自分がどんなことを大事にしながらキャリアを築いていこうとするか、話ができると嬉しいんだけど。<例えば、こんなやりとりへ><例えば、こんなやりとりへ><例えば、こんなやりとりへ>苅間澤先生のワンポイントアドバイスあの手この手で生徒を支援。そのためには理論が活きます 今回のケーススタディのありがちなケースの対応は、特にどこがまずいというわけではなく、一般的に多くの先生が行っているやりとりになっていると思います。ただし、それをあえてサビカスのキャリア構築理論を活かした対応ではどうなるか、を「こんなやりとりへ」でご紹介しました。「投げやり」「刹那的」など、キャリアを考えることに後ろ向きな生徒の場合は特に、仕事・職種研究ややりたいこと探しだけでは難しいことが少なくありません。その点、サビカスのキャリアストーリー・インタビューは、自分のこれまでを振り返り、そこから自分なりの人生のストーリーを語るので、比較的取り組みやすいものです。また、自分のストーリーに気づけると、将来的にもし選択した進路が合わないと思ったときに、自分で軌道修正していくためのいわゆる「キャリアアンカー」的な役割を果たすことにもなります。変化が激しい時代「一度決めたことは絶対」は現実的ではありません。離・転職自体は悪いものではなく、自分なりのキャリアストーリーを歩むことが大切です。そのための支援を、あの手この手で教師が行う。さまざまなキャリア理論でたくさんの引き出しを用意してあげてください。『サビカス ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル~キャリア・カウンセリング理論と実践』マーク・L・サビカス著 遠見書房キャリアストーリー・インタビューの具体的な実践の仕方などが、詳しく紹介されている。

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