キャリアガイダンスVol.440
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たちは「かなり気合いを入れて取り組む」のだという。2年次の「大学調べ」も、流れはほぼ同じだ。地方の国公立大学や特色ある大学など、コースごとに生徒に知ってほしい大学を教員がピックアップしたうえで、1年次同様ランダムに生徒に割り当てる。「模試の志望校欄などには関西の大学や全国的に名の知れた大学を書いている生徒が多いので、地方の魅力ある大学や、特定の学問領域に強い大学などの存在を知り、これまで聞いたことなかったけどこんな大学もあるんだ、と気づく機会になればと思っています。一つ発見があれば、じゃあほかも見てみようかと、視野がぐんと広がります。また、近年は入試方式もさまざまなので、それを知ることも大事だと思っています」 取り組み始めるのは2学期後半。文化祭が終わった後だ。「生徒にとって文化祭は一大行事。大学調べには、文化祭をやり切った後に取り組むことで、受験に向けて気持ちを切り替える、受験へのモチベーションを高める…という意味合いもある」と和田先生。実際、「大学調べ」の取組を通して、生徒の意識は受験モードへと変わっていくという。 生徒は主に冬休みを使って大学について調べ、ポスター作品を制作する。1年次に「学部学科調べ」を経験して慣れているためスムーズで、教員の指導が必要な生徒はほとんどいない。「ただ担任に提出するのではなく、生徒同士で見せ合ったり発表したりする機会があることが刺激になり、自分に足りない部分にも自ずと気づくことができる」と和田先生。今年度については全体発表ができるかどうか未定だが、「廊下に貼り出す、オンラインで共有するなど、どのようなかたちにせよ全員の作品を全員が見られるようにしたい」と言う。「以前担任していたクラスで、国公立大学に行きたいけど近畿圏内では難しそう…という生徒がいて、同じ学問領域が見せ合い発表し合うことで、未知の大学との出会いの機会に生徒用資料の「はじめに」には、「これまでに知らなかったような新たな情報を伝えられるような作品を」「責任をもって、自分だけでなく人の役に立つためにも良い作品づくりを」と書かれている。ツール11年次に取り組む「学部学科調べ」の生徒用資料と生徒の作品例 ※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 発行メディアのご紹介>> キャリアガイダンス(Vol.440)※生徒の作品例はダウンロード不可視野を広げ、気づきの機会をつくることが目的なので、あえてランダムにしている」と和田先生。生徒は割り当てられた学部・学科について、LHRの時間と課外を使い、進学情報誌やインターネットなどを活用して調べていく。「どういうツールを使えばいいか、どういうところに注目すべきかなど、適宜アドバイスをしています。名前だけでは内容がわからない学部・学科もありますし、経済学部と商学部と経営学部の違いなども1年生にとってはまだ曖昧なので、そういうところを特に突っ込んで調べるように伝えています」(和田先生)1カ月あまりかけて調べた内容は、各自がポスター形式の資料にまとめる。レイアウトなどは自由で、手書きの生徒もいればパソコンで作成する生徒もいて、表現方法はさまざまだ。班に分かれて調べた内容を説明し合い、班ごとに選ばれた代表者がクラス全員の前で発表。さらに、クラス内で選ばれた生徒は学年全体(2020年度は新型コロナウイルス感染対策のためコースごと)の前で発表し、生徒の評価により優秀作品を決定する。例年、表彰式は大いに盛り上がり、生徒462021 DEC. Vol.440

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