キャリアガイダンスVol.440
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ツール22年次に取り組む「大学調べ」の生徒用資料と生徒の作品例 があるので、必要に応じてそこに流しています。生徒も全員がデバイスを持っているので、教員は必要に応じてGoogleクラスルームで生徒にも情報を共有しています。大事なのは、情報のやり取りをいかに潤滑にするか。進路指導室に来なくても手元でパッと確認できますし、スレッドごとにまとめているので欲しい情報に即座にアクセスできます」(川田先生) 和田先生も、「担任団で集まって情報を共有するとなると、時間も拘束される。大学入試における変更点が多いなか、必要な情報を必要なタイミングで入手できるのはとてもありがたい」と言う。さらに、保護者への情報発信も積極的に行っている。「生徒に限らず保護者の関西志向も強いので、保護者懇談会などでは国公立大学を中心に全国の大学に関する情報を意識的に発信している」と川田先生。生徒が真に希望する進路を実現するため、教員全体、そして保護者を巻き込んで、進学先選択の意識改革に取り組んでいる。ことが求められるが、それを支えるのが進路指導部長である川田久美子先生による情報の発信・共有だ。「進路指導は情報が大事」と断言する川田先生が進路指導部長に就いたのは3年前。同時期に校内Wi-Fiと教員用クラウドスペースが整備されたこともあり、オンラインでの情報共有が一気に進んだ。「各種情報を社内メールで共有することに加え、大学から送付された資料など進路や大学入試関係の資料はすべてスキャンしてPDF化し、イントラネット上にアップしています。全教員で共有するほか、学年担任ごとなどの各種スレッド学べる大学が他にないか探していました。ちょうどそのタイミングで大学調べの発表があり、クラスメイトが発表していたある地方の国公立大学のことを知り、調べてみたらここなら行けそうだということで志望先を決めました。これはわかりやすい例ですが、大学調べは未知の大学と出会うチャンスの一つになっています」「学部学科調べ」「大学調べ」はLHRで行うため、指導はクラス担任が担う。担任には進路・進学に関する情報に精通する教員間、保護者とも情報共有し、生徒の希望する進路を実現する2年次3学期は受験に向けて動き出す大事な時期ですが、大学調べで自覚が芽生えるのでしょう、全体的にスイッチが入るのを感じます」(和田先生) 一方、今後の課題については、「志望校を検討し始める時期をもう少し前倒したい」と和田先生。コロナ禍の影響で学校行事が中止や縮小になり、オープンキャンパスなどにも行けないという状況のなかで、「生徒は受験に向けて気持ちが切り替わりにくく、大学生活への希望や具体的なイメージももちにくい」という。これまでも卒業生による講話会などを開いてきたが、そうした取組をさらに強化し、「早めに進路について考えられるような環境をつくりたい」という。さらに、大学入試の変化に伴い、論理的思考力や表現力の育成に学校を挙げて取り組んでおり、今後はこうした取組もさらに進めていく予定だ。10年あまり続けてきた「学部学科調べ」「大学調べ」の取組だが、生徒の進路選択の幅が広がる、進路選択の満足度が上がる、2年次3学期の始まりがスムーズなど、「数字には表れにくいが、確実に成果が出ている」と和田先生は言う。「大学調べをきっかけに、いわゆる有名大学以外に目を向けるようになる生徒が毎年少なからずいます。また、本校の国公立大志願者は、以前は志望校を関西圏から選びがちで、手が届かないから私立大学…という選択をしがちでしたが、近年は地方の国公立大学に生徒の目が向くようになりました。いろいろと調べたうえで選ぶことで、自分の進路選択に納得がいき、満足できるという生徒も増えているように感じます。また、幅広い大学に生徒の目が向き、進路選択への満足度も向上生徒用資料には「あなたの調べた大学が、将来クラスメートの最終学歴になるかもしれない、という責任を感じて取り組んでください」とあり、毎年、内容・見た目ともクオリティの高い作品が並ぶ。472021 DEC. Vol.440

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