キャリアガイダンスVol.440
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今春、学長に就任した私の初仕事は、入学式をオンラインではなく対面で挙行することでした。保護者の出席はご遠慮いただき、式を三回に分けるなどの対策を講じたことで、無事、執り行うことができました。授業についても、安全安心を大前提に、できるだけ対面で行いたいというのが基本方針です。履修人数を絞り、原則、100人を超えない科目については、昨年度後期から対面で実施しています。 対面にこだわるのは、私たちが育成したいのが「自ら考え、行動することのできる、しなやかな知識人」であるからです。今日のような複雑で困難な状況を乗り切るためには、問題に正面からぶつかる逞しさだけではなく、時ワークをつくる」「相手に敬意を持つ」は、シンプルながら、社会人基礎力や学士力にも通じる究極の行動規範と感じます。普段からこれらを意識しているかどうかで、社会人、家庭人としてのあり方も違ってくるでしょう。 こうしたことを学生により知ってもらいたく力を入れているのが自校教育です。「中京大学を知る」という全学共通科目を設置し、前期は名古屋キャンパス、後期は豊田キャンパスで各15回の授業を展開。私も教壇に立ち、学園の沿革や教育理念などを直接伝えています。コロナ禍においてはやむなくオンラインで実施していますが、提出された授業レポートを読むと、大学に対する理解が深まり、母校に愛着が生じている様子がうかがえます。 スポーツのイメージが強いとはいえ、本学は10学部を擁する総合大学であり、さまざまな分野での研究成果をベースに幅広い教育活動を展開しています。2020年には国際学部を設置。21年にはスポーツ科学部の定員を拡充し、新たにスポーツマネジメント学科とトレーナー学科を設置しました。23年には学園創立100周年、翌24年には開学70周年を迎えます。こうした節目に向け、近いうちに前向きなビジョンを示すつもりです。【学長プロフィール】うめむら・きよひで●1969年生まれ。中京大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。中京大学経済学部講師、助教授を経て2006年教授。経済学部長、経済学研究科長を歴任。13年学校法人梅村学園理事長・16年同総長(現在に至る)。21年4月より現職。【大学プロフィール】1954年中京短期大学開学、56年中京大学開学。文学部、国際学部、心理学部、現代社会学部、法学部、総合政策学部、経済学部、経営学部、工学部、スポーツ科学部の10学部に加え大学院9研究科を擁する総合大学。名古屋キャンパス(愛知県名古屋市)、豊田キャンパス(愛知県豊田市)。複雑で困難な社会だからこそ育てたい、「タフさ」と「しなやかさ」を兼ね備えた人材には、するりとかわす柔軟さも必要です。つまり「タフさ」と「しなやかさ」を兼ね備えること。そのためには実際に人と触れ合い、協働したり、葛藤したりといった経験が欠かせません。そうしたなかで一人ひとりが才能を開花させ、自立した人間になってほしいのです。 本学は「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」という建学の精神の下、1923年の中京商業学校(現 中京大学附属中京高校)開校以来、学術だけではなくスポーツによる教育にも力を注いできました。スポーツを実社会の縮図に見立て、教育の一環として取り組んできたのです。創立者が示したスポーツマンシップの四大綱、すなわち「ルールを守る」「ベストを尽くす」「チーム̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一中京大学学長梅村清英532021 DEC. Vol.440

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