キャリアガイダンスVol.440
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修などでよく話される、「飛べなくなるノミの話」をご存じの先生も多いかもしれません。ノミは1m以上ジャンプする能力があるらしいのですが、瓶などに入れて蓋をすると、次第にその蓋の高さまでしか飛ばなくなり、蓋を除けてもその高さ以上には飛ばず、外に出ることができなくなるそうです。つまり、自分で自分の限界を作っている状態です。 ではこの「飛べなくなったノミ」を再び飛べるようにするには、どうすればよいか? それは「その限界を越える仲間の姿」を見せることだそうです。限界を越えて高く飛ぶ仲間を見て、他のノミたちも、自分が高く飛べることを思い出す。 人間も同じように、過去の経験や思い込みが、知らず知らずのうちに自分を制限する「枠」となっていることがあるのではないでしょうか。それはある意味、生徒たちが経験のなかから学んできたことではあるのですが、それが〝ねばならない〞という固定概念や閉塞感、新たなチャレンジを妨げる見えない壁になっているとしたら…。高校時代に、身の回りにあるさまざまな「枠」や「境界」をあえて越えてみる〝越境経験〞をすることが、学びの幅を拡げてさらなる成長のチャンスにつながっていき、そしてその成長や変容は、生徒から生徒へ伝播していく、そんな可能性があると思うのです。見えない「枠」に気づき、越えてみる経験がさらなる「成長のチャンス」を生み出す「先行きが不透明で、将来の予測が困難な社会になる」と言われてもまだ先のような気もしていましたが、コロナ禍が世界中のすべての人をその当事者にしました。政府も企業も学校も、そして生徒たちも、これまでの当たり前が通用せず正解もないなかで初めてのことや新しいやり方に取り組む経験を経て、困難や不安とともに、何かが変わっていく兆しも感じ取っているのではないでしょうか。本特集では、そんな高校生が自分の“当たり前の枠”から1歩踏み出すことでこれまでになかった見方・考え方・価値観と出合い、一回り大きく成長していく、そんな「越境」について紐解いていきたいと思います。引き出す5つの越境 ~越える 学び文/林 知里(本誌 デスク)研ノミ1m82021 DEC. Vol.440

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