自ら企業・組織に出向き、直接プレゼンする機会を創出するのが、このプログラムの特徴。取材・文/教育ジャーナリスト 友野伸一郎大学教育において、社会の担い手としての自覚と自信をもちエージェンシーを発揮できる人を育成するための2つの大きな試みが、産業能率大学で始まっている。探究を核とした高大の接続を目指す未来構想方式の入試と、大学と社会との接続をも射程に入れたマーケティング・イニシアティブというプログラムだ。プログラム開発の中心を担った杉田一真教授に伺ったその内容とねらいを紹介する。自分のスマートフォンやタブレットPCなどを持ち込めるのが特徴だ。 この「日本初のスマートフォン持ち込み可」が注目されメディアでも報道される事となったが、もちろん同大学のねらいはそのような話題性にあるわけではない。この未来構想方式を同大学が設けたのは、「グローバル化社会の動きに高い関心をもっている」「自分の将来キャリアを真剣に考え、常に向上心をもっている」「主体的に課題を発見し、他者と協働して取り組むことができる」学生に入学してほしいと考えているからだ。 この未来構想方式が、探究を核とした高大接続を実現するという点では、レポートテーマである地域創生やSDGsについて、積極的に取り組む授業が産業能率大学には数多くあり、ある意味ではこのようなテーマを避けて卒業することは考えにくいとさえいえる。 また同大学では卒業までの4年間に、課題解決に取り組むPBL(Project Based Learning:プロジェクト学習)授業でも「考える力」を伸ばしていく。 高校時代に探究活動などに取り組み、自律的主体的に学ぶ面白さと大切さに気づいた受験生のために、2021年度から産業能率大学が開始したのが一般選抜「未来構想方式」だ。これは、2021年度では大学入学共通テストの3教科(国語・英語必須)合計250点(得点率50%以上)を受験資格とし、事前記述課題と試験当日の未来構想レポートを8段階の総合評価で合否判定している。事前記述課題では、持続可能で多様な豊かな社会の構築や地域創生への意志、未来への意欲について事前に記述する。 そして入試当日の未来構想レポートでは、配布された近未来のある地域での社会状況に関する文章を読んで分析し、対策を考えてA3用紙に記述する。その際に、インターネットで得られる情報を活用して考えることも必要とし、 つまり、この未来構想方式は高大接続改革への産業能率大学からの回答でもあるということだ。高大接続改革は高校教育改革、大学教育改革、大学入学者選抜改革の三位一体となった改革として位置づけられ、高校での最大の改革のひとつが探究活動の導入である。そして、大学教育改革においても学習者中心の教育への転換、学生の主体性を引き出し伸ばす教育の推進が求められている。それをつなぐ大学入学者選抜(大学入試)は、高校での探究活動と大学での学びを連続させ接続させるものであるべきだ。そのよ経営学部杉田一真教授5Vol.440 別冊特集
元のページ ../index.html#5