ーマインド。それが日本では一番足りないと言われています。 ただ、チャレンジする精神は、多くの場合、自然に生まれるわけではありません。もちろん自然にチャレンジ精神にあふれている人もいますが、そういう人は少ない。だからこそ、大学や企業もただ「チャレンジしなさい」と言うだけでなく、そのためのプロジェクトを用意することが大切です。1回だけではダメで、何回も何回もチャレンジできる場を用意することが必要です。 マーケティング・イニシアティブは4年間で、何回も超実践型のPBLが埋め込まれているので、そうした時代と社会の要請に応えた人材を育てる画期的なプログラムだと思います。 私は、学生時代に栄養豊富な藻の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)に出合い、ユーグレナによって「人と地球を健康にする」という志をもって、(株)ユーグレナという会社を創業しました。食品や化粧品の製造・販売等の事業を行うバイオベンチャー企業です。 現在は本当に変化の激しい時代で、先の見通しがまったく立たない時代です。そういう時代に問われているのは、自分でテーマを設定して、そのテーマを深く掘っていくことです。テーマが大きいから偉い、小さいからダメだということではありません。社会の課題にしても、おかしいと思うことに気づくことが大切です。そして「自分だったらもっとこうしたい」というように、その気づきをテーマに仕立て上げることができるかどうかが重要です。このことは、自分の内面から出てくるものをテーマとして設定するということにほかなりません。 ではユーグレナ社が具体的にどんな人材を求めているかというと、それは変化を先導していくチェンジメーカーです。スキルよりもそういうマインドセットをもった人であるかどうかを我々は見ていますし、おそらく大企業でも採用に当たっては同じところを見ています。大企業にしても自ら変わっていかなければ、今後生き残っていけません。それがデジタルトランスフォーメーションであり、グリーントランスフォーメーション、コーポレートトランスフォーメーションです。とにかく変化することは不可避で、その変化を先導するチェンジメーカーはどんな企業も世界中が必要としている人材なのです。 タフなチェンジメーカーになるために必要なことは、0を1にする成功体験です。学生のうちに何回も何回もチャレンジして、何回も失敗するかもしれないけれども、自分は0から1を作り上げたという体験は素晴らしい財産です。そこで得るものがレジリエントなアントレプレナいと思ったのは、12歳の時でした。あるテレビ番組に影響を受けて、将来はエンタテインメント業界で働くのだと決意しました。そして、その将来の目標から逆算して、実践的にマーケティングを学べる大学をいろいろと調べ、夢をかなえるなら産業能率大学しかないと決めて入学しました。 大学では期待通りの授業で、例えばエンタテインメント業界で働く方の話を聞く「エンタテインメントビジネス」の授業では多くのことを学びました。さらに、最も大きな学びがあったのは、自由が丘商店街と協力して企画を立て実現する「イベントコラボレーション」や、企業から与えられた課題を解決するPBLの授業でした。このような企画立案や課題解決に何度も取り組むことで、身についたことは「アイデア力」と「挑戦力」だと感じます。 特に挑戦力は、失敗経験を通じて身についたと思います。「イベントコラボレーション」での企画立案を始め、多くのPBLの授業で、私はグループの責任あるポジションを任されたのですが、思いが空回りしてしまったり、実務的なマネジメントがボロボロだったりして大失敗し、グループの仲間や企業、商店街の方にも迷惑をかけてしまいました。でも、リスクを取って挑戦したことを評価してくれ、失敗を許してくれるだけでなく、その失敗を次に活かせるのが産業能率大学の教育だと思います。 エイベックスで働くようになって強く思うのは、最近はマーケットが細分化していて既存の基準だけでは分析できないということです。わからないからこそ課題を発見して設定することが大切で、マーケティング・イニシアティブのような授業が私の在学中にあったら、絶対に受けていたと思います。株式会社ユーグレナ代表取締役社長出雲 充さん 私は現在、エイベックス・エンタテインメント株式会社で2つの仕事を兼務しています。ひとつは会社全体や所属する全アーティストのSNSなどのソーシャルメディア戦略を立案し実行することです。もうひとつは新人アーティストのプロモーションチームの一員としての活動です。 私がエンタテインメント業界で働きたエイベックス・エンタテインメント株式会社勤務西木沙織さん(経営学部2018年卒業)7Vol.440 別冊特集
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