下げることが重要だろうと考えたのです」(佐々木氏) 折しもドルトン東京学園の教員とガイアックスの社員との交換留学プロジェクトがあり、先生と意気投合。1期目は「学校と一緒にやりながら作っていった」と振り返る。4期目となる現在もそのスタンスは変わらない。「起業のプロセスを通して、今やっている勉強が何にどう役立つのかを肌で感じることができるのも重要な視点」と佐々木氏。加えて、「先生のマインドチェンジも大きい」と同社の田中嶺吾氏。「問題が起こらないよう先回りして動いていた先生が、生徒が果敢に突撃ヒアリングをする姿を見て、地域の人に怒られても仕方ないよね、失敗は次に活かせばいいよね…と変わっていった」と言う。今後に向け、総合的な探究の時間とのコラボレーションも思案中だ。「リアルな課題に対して解決策を考え、実装する起業のプロセスは、まさに探究学習。今後は〝探究×起業〞という視点で、学校の先生と一緒に授業づくりにも挑戦したいですね」(佐々木氏)「3月6日の山形市の天気をAI(人工知能)に予測させたところ…〝曇り〞という結果になりました!」。昨年3月に開催された第1回AI甲子園にて共通テーマ賞(天気予測AI)に輝いた山形県立山形東高校チームは、過去17年間分という膨大な気象データをAIを用いて分類・分析し、指定日の天気を予測した。 同校をはじめ山形県内の13校91人の高校生が参加するのが、「やまがたAI部」だ。2020年8月に学校横断型の部活動として始動した。活動を支えるのは、県内の企業、自治体、大学などからなる、やまがたAI部運営コンソーシアムだ。資金面に加えて、事務局メンバーや各校をサポートする企業コーチ、学生コーチといった人的リソースも出し合う。運営に携わる(株)IBUKIの鈴木由佳氏は、「一度心に火がつけば、高校生は自分たちでどんどん前に進んでいく。大事なのは環境をいかにつくるか」と言う。 専門家からAIやデータサイエンスの基礎を学ぶ座学から始まり、実際に手を動かして実験を重ねる。さらに、地元のものづくり企業を訪問してどこにAIが活用できそうかをディスカッションしたり、AI分野で活躍する社会人のトークセッションに参加したりと、学校の枠を越えて活動する。一方、学校ごとの取組もあり、その成果は先述のAI甲子園で競い合う。昨年度3校のコーチを務めた(株)Oオーツー2の野澤道直氏は、「高校生のポテンシャルはすごい」と言う。「あるところまで来ると、グッと伸びる。自分たちでいろんなことをインプットして、何をクリアにしたら課題を突破できるかを考えたうえで相談しにくるんです。その姿勢には、こちらが刺激をもらいました」(野澤氏) コンソーシアムの会長を務める松本晋一氏は、都内にある製造※(株)IBUKIは2021年12月に別会社に株式譲渡済み。地元の企業、自治体、大学が部活動でAI人材を育成教育こそ要。教育を怠った組織と地域に未来はないフリーランスエンジニア、会社役員を経て2007年からガイアックスに参画。スタートアップスタジオ責任者として起業家への伴走・投資判断を担当。技術本部長を兼任し、スタートアップの技術支援や組織の技術戦略にも取り組んでいる。(株)ガイアックス スタートアップスタジオ責任者佐々木喜徳(左)スタートアップにて事業の立ち上げに従事したのち、2020年10月にガイアックスに参画。ポテンシャル採用や事業部・投資先の採用支援に携わり、現在は中高生向けの「起業ゼミ」(経済産業省・第11回キャリア教育アワード中小企業の部で奨励賞受賞)を担当する。(株)ガイアックス スタートアップスタジオ 管理本部 人事支援チーム田中嶺吾(右)大手化学メーカー、外資系ITベンダー、コンサルティングファームなどを経て2004年3月に(株)O2を設立。製造業向けのコンサルティング業務を行う。2014年9月に(株)IBUKIに参画し、代表取締役に就任※。山形県への熱い思いと広い人脈をもつ。(株)O2代表取締役社長CEO 松本晋一山形県立山形工業高校のAI部の活動風景。生徒たちは参考書で調べながら、機械学習プロジェクトを作成していく。「起業ゼミ」で、若者にとって起業を当たり前の選択肢に産官学民が支える学校横断型部活動で、未来に活きるAIの力を
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