キャリアガイダンスVol.441
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いでください。大事なのは、いろんな人が高校生に関わり、つながること。複数のルートがあれ私たちにとっても、積極的に連携したいパートナーです。私たちも、自分たち単体でなんとかしよう・なんとかできるとは考えておらず、他のNPOや団体、行政と連携して動いています。同様に、先生方も自分たちだけで抱え込まず、気になる生徒や対象になりそうな生徒がいたら、外部の支援のプロにどんどんつなば、そこから生徒自身が頼れる場所や人を見つけていけると思うんです」(今井氏)「次世代を担う若い人たちの〝心のエンジン〞を駆動させたい。自分たちにできるのは、志ある教育活動を資金面で支援すること」。そう語るのは、一般財団法人三菱みらい育成財団常務理事の藤田潔氏だ。同財団では、「日本の社会を支え、発展させる次世代人材の育成」という目標を掲げ、分野や人材像は絞らず広く助成事業を行っている。三菱グループの創業150周年事業として2020年度から始まったもので、主に高校生向けの教育プログラムを対象に、10年間で100億円を助成するという稀に見る大規模なプロジェクトとなっている。 事業創設に際し、藤田氏らは全国の高校や大学、教育機関を回って現場を視察し、多くの有識者にも話を聞いた。「高校、特00万円を助成。現在までにのべ106件が採択されている。採択されたプログラムは実に多様で、採択後の自由度も高い。一方、助成先には財団のメンバーが順次訪問し、プログラムの実践状況や課題、今後の進め方などについて面談を実施するなど、フォローアップを行っている。 同財団では、助成対象の高校・大学や教育事業者同士が交流できるプラットフォームの構築にも取り組んでいる。定期的にオンラインで交流会を開いており、「大いに盛り上がっている」と藤田氏。その場でコラボレーションが生まれることもあり、「今後は好事例を横展開し、社会にも発信していきたい」と言う。「我々は、教育において外側の存在。目の前の生徒に何が必要かは、プロである先生方が一番よくご存知です。必要な教育環境をいかに整えるかという課題に対して、資金面と仕組みづくりの面で今後も携わっていきたい。お金が必要な学校に、教育委員会のみならず企業や財団がお金を出すというシステムが認知され、浸透する社会を構築したい。そう考えています」(藤田氏)に公立高校への支援が手薄であることを強く感じ、加えて、『真面目だが受け身で、前向き・自発的ではない生徒が増えている』という話を至るところで耳にした」と振り返る。「将来これがしたい、こうなりたいという志がなければ学びへの意欲はわかず、行動にもつながらない。自分で考えて、調べて、判断して、表現するという力も当然つかない。まずは高校生の〝心のエンジン〞を駆動させる必要があると考えました」(藤田氏) こうして設定されたのが「心※のエンジンを駆動させるプログラム」だ。カテゴリー1は高校等を助成対象とし、1件につき最大2一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)が運営。企業等が行っている教育支援プログラムを、ジャンルや対象、社名などで検索できる。企業等の教育支援プログラムポータルサイト立命館大学稲盛経営哲学研究センターの教育実践研究&アウトリーチ部門。「生きる力」をつける教育プログラムの提供や教育実践を行うNPO・団体、WEBサイト等を紹介している。RITA LABO日本の社会を支え発展させる次世代人材の育成に投資する1983年三菱商事(株)入社。人事部経験が長く、子会社のヒューマンリンク(株)社長、三菱商事人事部長、総務部長、東北支社長を歴任した後、2019年より現職。Educationを訳す際、「教化」と「発育」という案があり、各1字を取り「教育」としたという逸話から、教化と発育を発達段階に応じてどうバランスさせるのかが鍵だと考えている。一般財団法人 三菱みらい育成財団 常務理事 藤田 潔〝高校がやりたいこと〞を資金面で支援する心のエンジンを駆動させるプログラムに、10年間で100億円を助成※詳細は64ページを参照。つながる先が見つかるリンク集122022 FEB. Vol.441

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