キャリアガイダンスVol.441
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PROJECT INDEXNPO法人ETIC.(エティック)が運営。全国各地で行われるインターンシップを検索できる。大学生を対象にしたものが多いが、募集対象を「高校生」に絞った検索も可能。1987年に岡山トヨタ自動車(株)に入社。2001年より代表取締役社長。2021年に岡山経済同友会代表幹事に就任。中小企業家同友会全国協議会社員教育委員長、岡山県教育委員なども務める。自社の社報でも地元の高校の活動を紹介するほか、プライベートでは少年団活動などの社会教育にも携わる。岡山トヨタ自動車(株)代表取締役社長 梶谷俊介 なぜ、社会は高校と共に生徒を育てようとしているのか。「企業も学校も、一人ひとりの人間がいかに育ち、いかに良い人生を送るかという同じテーマを抱えているのだから、できるところは一緒になってやればいい」と岡山トヨタ自動車(株)の梶谷俊介社長。「高校生も社会の一員であり、人間は多様な関わりのなかで共に育つものなのだから」と笑顔で語る梶谷氏は、約5万社が加盟する中小企業家同友会の幹事等を務め、全国の仲間と共に地域・社会における人づくりを進めてきた。 「学校で教育を受けた若者が企業に入り、成長し、地域・社会を担う存在になっていく。また、親の自分の仕事への誇りも、子どもに大きな影響を与える。そう考えると、私たち企業も人づくりや教育に責任があり、その一端を担って当然です。学校や先生だけが、全部やる必要はないんです。〝企業=自分たちの利益のためだけに活動している〞という印象があるかもしれませんが、実はそんなことはないんですよ」(梶谷氏) 実際、企業団体はさまざまな活動を行っている。例えば、SDGsについての探究学習を計画している高校の「地域の企業がSDGsに向けてどんな取組をしているか知りたい」という声に応え、岡山経済同友会は『おかやまSDGsマップ』を作成して全高校に配布。各社の担当者から高校生に向けたメッセージも盛り込んだ。また、岡山県立倉敷商業高校のマーケティングの授業では地元企業の社員が講師となり、「教科書だけじゃピンとこない内容を、実務経験を踏まえて話した」(梶谷氏)。岡山県内の取組は一例に過ぎず、学校への出前授業、教員初任者研修の受け入れ(徳島同友会ほか)、経営者と高校教員との懇談会(宮城同友会ほか)など、各都道府県の中小企業家同友会では地域社会に根ざした取組を展開している。 「正解のない社会においては、企業人も先生も高校生も、共に育つ関係にある」と梶谷氏。教育に携わることは、企業にとっても価値があると言う。 「私自身、高校生と意見を交わす機会があるのですが、柔軟な発想や本質的な視点に気づかされることも多くて。行政や政府の審議会等のメンバーに、高校生を入れるべきだと思っているんです。また、先生方とは、人を育てる者として同じ悩みを共有し、その解決策を共に考えるシーンもあります。学校のため、高校生のため、先生のために企業が何かをするのではなく、共に学び合い共に育つために、それぞれが得意なことを活かしながら役割分担することが大事なのではないでしょうか」(梶谷氏)* 今回紹介したのは一部の事例にすぎないが、それぞれの取組を通して見えてきたのが、「次世代を育てる・支える」ことへの学校の外側にいる人たちの本気度だ。梶谷氏は、「先生方自身にも、一人の社会人として学校以外の場で次世代の育成に携わってみてほしい」と訴える。 「〝先生〞という枠を越えて地域に出てみることで、新たな気づきがあり、つながりも生まれます。地域との関わりというベースがあると、教育における学校の、企業の、地域の大人の〝役割〞も見えてくるはず。すべてを抱え込まず、地域・社会に心を開いてみてはいかがでしょうか」テーマは「共創」。対等な立場で学び合い共に育つ学校や先生だけが、すべてを背負う必要はない未来を担う若者を育てる責任は、我々全員にある132022 FEB. Vol.441社会と共に生徒を育てる社会全体で生徒を育てる・支える -社会側の視点からー

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