キャリアガイダンスVol.441
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▼全教員で本校の将来についてのSWOT分析(※)を実施し、地域に根差した学校であることを再確認した。(教頭)▼校長が自ら出向いて「地域と共に生徒を育てる」という方針を示し、連携の土壌を作っていった。教員としては「校長もやっているんだから」と〝やらされ感〞は和らいでいる。校内の「やり方がわからない」という声は年々なくなってきた。(教務主任)▼地域でのプロジェクト活動に対し、負担が大きいと先生方から不満が出るようになったが、負担をすべて取り除くことは難しいため、活動内容を精選。1年次の初期の活動は以降の生徒の取組姿勢に影響するため丁寧に行い、ほかは効率を優先した。そのようにして教員全体の理解と協力を得て進めている。(探究担当)成長につながっている手応えはありますが、それを数字で示すことも、先生方の理解を広げるにあたっては大切です。非認知能力測定ツールなどを導入して示すことにも力を入れています。(上門先生) 社会との接点をもつ取組の経験がない先生方が多いなか、一気に全員同じ意識で取り組んでいくのは大変です。そこで、まずは先生方の負担が少ない形で〝始めてみる〞ことを大切にしています。校長として明確に方針を示すとともに、共感してくれる先生をミドルリーダーとし、しっかり対話し 数年前、本学園中学校で卒業生に協力を仰ぎ、生徒が多様な職業の方の経験を聞いて自分の将来を考えるプログラム「夢発見プロジェクト」を立ち上げました。当初、校内には負担の大きさや授業時数の確保を懸念する意見も多かったのですが、私にはこれから求められる力の育成や、より広い視野による進路発見につながるとの読みも。実施すると大きな刺激を受ける生徒の姿が見られ、少しずつ賛同者が増加。今では外部連携による探究活動も活発に行うようになりました。 こうした活動が学力を含む生徒のながら中心となって動いてもらっています。そして、実践のなかで生徒が生き生きと取り組み、意欲が高まる様子から、徐々に先生方に活動の意義が浸透していくと感じています。 また本校では、先生方の負担の軽減と、学校にない発想を取り入れることを狙って、今年度から探究学習のコーディネートを外部委託。探究プログラムの設計や授業のファシリテーションなどに協力を得ています。先生方は、一緒に取り組むなかで効果的な実践ノウハウを学んでいるようです。(丸橋先生)「主体的・対話的で深い学び」「カリキュラム・マネジメント」「社会に開かれた教育課程」の3点を重視した学校づくりに注力。これまで校長として赴任した3校では、いずれもキャリア教育や総合的な探究の時間などをコーディネーターと連携して実施。太田高校(群馬・県立)校長丸橋 覚先生「こんな学校を卒業して何になるのか」という高校を中退した生徒の言葉でキャリア教育の重要性に気づき、学校外に知見を求めるように。生徒の活動を支援する地域の有志団体「TEAM NETSUGEN(ネツゲン)」発起人の1人。高津高校定時制(神奈川・川崎市立)進路部主任松本智春先生文理科、普通科(普通コース/キャリアアップコース)、工学科を設置する中高一貫校で、総合的な探究の時間、学校設定科目「キャリアアップ」の授業を担当。数年前から地域と連携したキャリア教育に着目し、取組の幅を拡大してきた。れいめい高校(鹿児島・私立)普通科普通コース長上門大介先生「群馬の10代に、しなやかな学びを。」を掲げ、主に群馬県の学校と連携。キャリア教育や探究のプログラム開発・実践の支援、外部機関との連携・折衝などに取り組んでいる。認定キャリア教育コーディネーター。NPO法人DNA代表理事沼田翔二朗さん協働する意義や目的をどう全教員で共有する?● 地域と協働する意義を見出さない先生もいる。(教頭)● 学校外での活動は「生徒の時間を取りすぎる」 「部活動がしにくい」と校内から不満が出る。(探究担当)● 連携のための連携、との意識も垣間見える。(進路指導部)成長の姿とエビデンスが賛同者を増やすミドルリーダーと連携し負担の軽い方法で始める※SWOT分析=強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目で整理して、現状分析する方法152022 FEB. Vol.441社会と共に生徒を育てる現場の声から考える 高校はどう社会と共に歩むか

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