キャリアガイダンスVol.441
17/66

●学力面で目立たなかった生徒やコミュニケーション能力に課題のある生徒などが、社会と協働した学びには主体的に取り組むようになっている。また、そのような生徒が脚光を浴びることもあり、自信につながっている。(教頭)●数年前にとある生徒から聞いた「先生に褒められるのも嬉しいけど、地域の人に評価してもらえるのはもっと嬉しい」という言葉が印象に残っている。こうして自信をもったり地域社会の面白さに触れたりした生徒たちは、一気に自分たちで行動するようになっていく。(探究担当)●有志生徒が商店街との連携事業としてノベルティ作りに取り組んだ。高校生であっても社会にインパクトを与えるものを作れることや、多くの関係者が関わって1つのものができあがることを知った。生徒の自信となると同時に、私自身の気づきとなった。(指導教諭)●以前は「生徒が校外に出る」=「学校の事前指導が試される場、失敗や失礼は許されない場」と考える教員が少なくなかった。それで例えば、連携先に教員が予め連絡を入れたうえで、生徒が形式的に電話するといったことが行われていた。背景には「うちの生徒にはできない」との意識があったと思う。しかし、生徒が実際に動き成長する姿を見て、生徒たちを信頼しようとする教員が増えた。(探究担当)ているのは、目標を〝具体的な状態〞で伝えること。例えば「主体性の育成」に重点を置くなら、「自分から質問できる状態を目指したい」と具体化して伝えると、質問が出る雰囲気づくりなどの工夫につながります。また、活動後に連携先からリフレクションをもらい、目標自体をブラッシュアップしていくことも大切だと思います。(沼田さん)重荷になり、活動自体が続きません。子どもたちのことを頭の片隅に置きつつも、大人同士で楽しい活動を考え、そのなかで何かやろうと盛り上がったとき、「じゃあ高校生にも声を掛けよう」と思い出していただく。そのぐらいを目指すのが、持続可能な学校と地域の関係性のポイントではないかと思います。(松本先生)就いている卒業生や保護者の方にだいぶ助けていただいています。 また、コロナ禍でオンライン活用が進んだことで、遠方の方にはこれまで以上にご協力いただけるようになり、社会接点の幅は確実に広がったと感じています。(上門先生) 予算が潤沢ではないなか、著名な方をお招きすることは難しいのですが、身近にも魅力的な方はたくさんいらっしゃいます。本校はさまざまな仕事に 本校では探究コーディネーターへの委託費を、教材費等と同様に生徒の家庭にご負担いただいています。一人あたり模試1回程度の費用で、1年間の探究活動がバージョンアップできるという価値をご理解いただいています。 また、生徒自ら企業・団体に依頼して話を聞かせていただく場合は、金銭ではない形で先方にメリットを感じていただけるような関係性づくりを心掛けています。(丸橋先生)一歩を踏み出し、見えてきた変化の兆し予算がないと、何もできない?● 自由に使えるお金がない。(探究担当)● 連携先に交通費ぐらいお支払いしたいが…。(教務主任)● 予算をたくさん使える学校にはかなわない。(探究担当)▼目指す生徒像をわかりやすく言語化し、地域の方と共有した。(教務主任)▼探究発表会に助言者として地域の方々をお招きする機会に、学校としてどんな生徒を育てたいか、なぜ地域探究させたいかなどを細かく説明している。(探究担当)▼教員もマインドを変え、生徒と共に校外に出る必要がある。視野が広がり、生徒の学びを深めるアイデアが得られると思う。(教務主任)▼自分自身と地域社会のつながりが足りない。日々変化する社会において、自校に求められていることを見極めたい。(探究担当)▼生徒が地域を元気にするために打ち上げ花火を企画。生徒自身がPTA役員会で保護者にプレゼンをして協力をお願いした。単なる活動報告より、生徒の成長につながったと思う。(教務主任)受益者負担で探究をバージョンアップ卒業生や保護者の協力、オンラインで機会を拡大172022 FEB. Vol.441社会と共に生徒を育てる現場の声から考える 高校はどう社会と共に歩むか

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る